昔の思い出 (6歳頃:ブラジルの蝶々)

ブラジルに住んでいた時,隣の家 – 2km はゆうに離れている –
の5歳くらいの子供が蝶の標本を作っているのを見た.その時,私も同じくらいの年齢だが,妙に感動した記憶がある.標本といっても,そこらにある板に,捕まえた蝶々を釘で打ち付けただけのものである.普通に考えるとみすぼらしい標本だろうが,蝶々がとても美しく,なにか別世界のものを見ているような感じがした.羽が青や緑に光っている.電気も通っていない田舎に住んでいたので,光るものなんか見たことがなかったから,感動したのかもしれない.原始人がレーザーや青色LEDを見たような感じと言えば分かるだろう.

モルフォ蝶.
モルフォ蝶.ブラジルの蝶々は美しい羽を持ったものが多い.

その後,標本を作るわけではないが,ときどき蝶々を捕まえた.網なんか持っていないからざるで捕まえ,それを地面に逆さまにして活かしておく.ざるの中の小さなな美しい蝶々を今でもよく覚えている.

たぶん南米では一般的だろうが,ブラジルの蝶々はとても美しい.ピカピカ光った羽で飛び回っている.日本の蝶々はとても地味に見える.日本でとても上手に作られた蝶々の標本をいくつか見たが,あの時見た標本ほど美しい物を見たことがない.遠い昔の記憶である.もう一度,ブラジルに行って蝶々を捕まえたい — と考えている.