アベノマスクが到着

なんだこりゃ

いまさら感が強いですが,アベノマスクが到着しました.それも,3人家族にたった二枚です.噂通りに小さく,使い難そうです.ゆったりとした使い捨てマスクのほうが呼吸の妨げがなくて,良いですね.

昨日到着したアベノマスク

それにしても遅すぎます.巷には,先週からマスクは出回っていました.この巷に出回っているマスクのほうが使い勝手が良いので,アベノマスクは使う予定はないです.届いたマスクは,うちでは使わないで寄付しました.なんと,マンション内に寄付ボックスがあり,それに入れるだけです.

先週店頭で見かけたもの

トンマな政策

このような無駄なマスクに200-300億円もの税金を投入したのだから驚きです.例えば200億円のお金があると,どれだけの子どもたちに教育を受けさせることができるか考えてもらいたいです.本当に,今の政治家ってバカだよなーと思います.こんな子供じみたことをやっているのは,滑稽です.これを止められなかった野党もです.

政府が民間企業と競争して,勝てるわけがないです.品質,コスト,スピードのどれをとっても,政府には勝ち目が無いです.マスクなんて不足が分かれば,民間企業はビジネスチャンスと考え,すぐにでも供給の準備をします.バカでノロマな政府が,品不足なモノを配布するのはトンチンカンなことです.

このトンマな政策については,反省する必要がありますね.100 億円以上をつかって,その結果を評価・反省をし,公式な文書 (レポート) を作成しなくてはならないと考えます.二度と同じ間違いを起こさないためにも,レポートはとても大事です.

バカ丸出し

まれにみる愚策ですが,それを反省するどころか賛美する態度は,滑稽を通り過ぎて悲しみを覚えます.政府は「布マスクの配布などにより需要が抑制された結果、店頭の品薄状況が徐々に改善をされて、また上昇してきたマスク価格にも反転の兆しがみられる」と.これをバカ丸出しと言います.

大事なこと

誰だって失敗はあります.政府だって,失敗はするでしょう.熟考した上での失敗なら,まだ許されます.ただ,今回のマスク配布は,誰が見てもとても幼稚でちゃんと考えたとは思えません.これでちゃんと考えた言うならば,知性を疑います.

知性の問題は今は議論しません.政策が失敗したときに,取るべき態度について説明します.まずは,真摯に反省することです.そして,失敗の原因と経緯,内容,その他をきちんとしたレポートにまとめることです.そうすることにより,将来,同じ轍を踏むことがなくなります.

反省することは,より良い政策に向かうようにフィードバックの力になります.せっかく失敗という良い経験をしたのだから,これを糧に賢くなって欲しいものです.

原子力発電の制御棒挿入後

原発の安全性の疑問

原子力発電の危険性については,様々な場所で議論されています.反対派,推進派とも,説得力に欠けるんだよなー.その中で推進派の話で,いつも疑問に思うのは,

  • 地震が発生すると制御棒が挿入される.
  • 原発は安全に停止する.

というものです.これを聞くたびに,そんなバカなーと思っています.事実,福島原発では制御棒が挿入されたにもかかわらず,メルトダウンが起きたではないかと.

制御棒挿入後の問題

ちょっと調べてみたところ,制御棒を挿入しても,燃料棒の発熱は完全に止まらないことが分かりました.例えば,以下に詳しい説明があります.

資料1 福島原子力発電所事故の根本原因と教訓
資料2 原子炉内が崩壊熱のみによって加熱されている場合に必要な水の投入量の推定

これらの資料は,大変よくできており,原発に関して素人の私でも理解できます.この私のブログの読者の方も一度目を通すと良いでしょう.

あたりまえのことですが,制御棒が納入されても燃料棒自体は発熱します.燃料内の原子核が崩壊することによる発熱です.これを崩壊熱と言います.福島原発では,この崩壊熱が問題でした.ここでは,定量的な議論が重要になります.そこで,先に示した資料2を引用し,崩壊熱の定量的な説明を行います.図1は,制御棒が挿入された後の福島原発の崩壊熱の量です.制御棒挿入後の 5 日間の福島2号機と3号機の平均的な発熱量は,10 MW 程度です.これは,約2万9千世帯の平均消費電力に等しいです.

図1 福島原発の制御棒挿入後の崩壊熱の経時変化 (資料2より引用)

これだけの発熱がある燃料棒を冷却するためには,膨大な冷却水が必要になります.図2は,最低限必要な冷却水量を示したものです.燃料棒の発熱量を水の潜熱で割ったもので,熱平衡に達する量です.制御棒挿入後の5日間で,福島2号機と3号機の平均的な必要な冷却水は,17 ton/h です.これは,1時間あたり風呂の水を85杯に相当します.この冷却水を原子炉に投入できなかったことにより,原子炉がメルトダウンしました.

図2 福島原発の制御棒挿入後の崩壊熱に相当する水量の経時変化 (資料2より引用)

まとめ

原子炉は制御棒が挿入されても,かなりの発熱があります.これを冷却しない限り,原子炉はメルトダウンします.「制御棒が挿入されれば,原子炉が安全に停止する」というのは嘘です.しばらく冷却しなくてはなりません.

もっと恐ろしいのは,制御棒が挿入されなかった場合です.

北方領土問題

ここで,あえて正論を言おう.

第二世界大戦の主な連合国と枢軸国の死者数は,表1のとおりである.北方領土問題で,ロシア国民の感情を考えると,ソビエト連邦の死者数を頭に入れておかなくてはならない.先の大戦でソビエトでは軍人と民間人を合わせて2000 — 3000万人が死んだ.これは,人口の 11.2 — 16.1% である.その一方,日本の死者数は人口の 3.7 — 4.4% である.この戦争に,ソビエト国民はとても大きな犠牲を払ったことが分かる.ソビエト,今のロシアもそうだが,国民は大きな犠牲を払って国を守ったという誇りとともに,死者を弔っている.「大祖国戦争」と呼ぶのもうなづける.どう贔屓目に見ても,日本は第二次世界大戦を「大祖国戦争」とは呼べないのである.

もちろん,ソビエトの犠牲はドイツとの戦いによるもので,日本との戦いでの犠牲者は微々たるものである.しかし,当時の日本は,ドイツとともに枢軸国を形成しており敵であることには変わりがない.日本はドイツの尻馬に乗って戦争に突入した経緯もあり,ソビエトから見るとドイツの影に隠れて分け前を頂く小賢しい奴に見えるかもしれない.

第二次大戦の連合国の死者数 (World War II casualties).アメリカとフランス,イギリスの人口には植民地も含まれる.民間人の戦死者には,軍事活動による直接の死者の他に,人道に対する罪や戦争がもたらした飢饉,病気よる死者も含まれる.
国名 当時の人口 戦死者数
[万人] 軍人 [万人] 民間人 [万人]
ソビエト連邦 1,8879 866 — 1140 1250 — 1900
中国 5,1756 300 — 375 1235 — 1819
アメリカ 1,3102 40 1
フランス 4168 21 39
イギリス 4776 38 6
ドイツ 6930 444 — 531 150 — 300
日本 7138 210 — 230 55 — 80
イタリア 4439 31 — 34 15

このように大きな犠牲を払って守った国(国土)はとても大事にしなくてはならない — とロシア国民は考えるだろう.北方領土は犠牲を払って守ったものではないが,その戦争の犠牲と引き換えに得たものである.国民感情を考えると,ロシア政府は簡単に北方領土を返還することはできないだろう.

日本国民からすると,終戦間近の侵攻からその後のシベリア抑留,北方領土の強奪など,ソビエトに関しては良い印象が無い.終戦のドサクサにまみれて奪いとったものを返せ — という主張は正当であろう.

このように,双方の国民はどちらも正当な主張をしている — と私は考える.現実的には,北方領土はロシアが支配している.この領土返還を求めるならば,ロシアの主張を聞く必要が有るだろう.交渉の席では,日本政府はロシア国民の感情を理解し,日本側の謝罪や譲歩が必要ではないかと思う.「何に対して謝罪するのか?」という意見に対して,「先の大戦で,(枢軸国側にたち)大きな損害を与えたこと」である.ロシア国民の感情を大事にしなくてはならないと考える.

こんなことを書かなくても,政治家や官僚は微妙なバランスのもと,返還交渉を進めているだろう.それぞれの代表が自国政府の誤りを謝罪し,円満解決できることを望む.先に日本が謝罪すべき — が私の主張である.