これで俺達は皆くそ野郎だ

第二次大戦中,米国は原爆の開発(マンハッタン計画)を進めていました.その過程で,終戦まじかの1945年7月16日に,ニューメキシコ州で人類最初の核爆発の実験「トリニティ実験」を行いました.実験は上手くいき,計画通り核爆発が起きました.それを見た実験責任者: ケネス・ベインブリッジ はマンハッタン計画を主導したオッペンハイマーに対して,「”Now we are all sons of bitches.”(これで俺達は皆くそ野郎だ)」と言ったとのこと.

トリニティ実験の爆発直後の火の玉。爆発から16ミリ秒後,火球は200メートル幅.地平線に沿った黒点は木々である.[引用元:トリニティ実験]

この言葉を聞いた時,私はかなり驚きました.巨額な経費ととんでもなく多くの人を動員して,やっと出来上がった原爆の成果 (科学技術の成果) を見て,感慨ひとしおというのが普通の感覚です.特に科学者にしてみれば,世界初の大規模核反応の実験に携わったことは,かなり光栄なことだったはずです.しかし,ケネス・ベインブリッジ は,それがもたらす悲劇を冷静に見抜いていたんでしょうね.こんなに人とお金をかけて,「糞ったれ,なんていうものを作ってしまったんだ」(ブログ筆者主観) と.

少なくとも,科学を志す人はこの言葉の意味を一度は考えてもらいたいと思います.