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研究 電気/電子回路 半導体(ダイード・トランジスター)

電気/電子回路半導体 (ダイード・トランジスター)

「トランジスターとはなにか?」という問いに答えるために,トランジスターの基本を述べます.

目次


基礎

トランジスターは,スイッチングや増幅に使われる個体素子です.トランジスター以前は,電子回路には真空管が使われていました.真空管は大きく,ヒーターが必要なので電力を大食いし,しかも故障しやすかった.さらに,製造もかなり面倒で高価なものでした.なんとか,小型で故障が起きない個体素子の増幅器ができないものか,いろいろな人が試行錯誤し開発をすすめていました.そんな中,1948年にベル研で,トランジスターが発明されました.

半導体の素子と半導体材料

ダイオード

ダイオードは,図1 に示すように,P型半導体とN型半導体を隣り合わせに接続した構造です.このようにすると電流は,P型半導体からN型半導体の一方向にしか流れません(参照:図2).これにより,真空管の二極管同様の整流や検波ができます.

図1: ダイオードと記号

図2: ダイオードの動作

トランジスター

トランジスターは,NPN型とPNP型が有ります.しばしば,図3や図4のように表現されます.中央の領域はベースと呼ばれ,外側の2つの領域はエミッタとコレクタと呼ばれます.N型半導体でP型半導体を,あるいはP型半導体でN型半導体を挟んだ構造をしています.それぞれの半導体は,電極 (Emitter, Base, Collector) が接続されます.これらは一般に用いられる図ではありますが,初心者が混乱する元凶です.私はこれらの図を見た時に,ダイオードを二つ接続すればトランジスターになると勘違いしたものです.これら図だと Emitter と Collector が同じで,入れ替えても動作するように見えます.実際はそんなことはありません.それらは物理的および電気的特性が異なります.

図3: PNP型

図4: NPN型

真性半導体と不純物半導体

半導体材料

ダイオードやトランジスタに使われる半導体は,4価の元素である半導体であるゲルマニウム (Ge) や シリコン (Si) に,微量な5価元素 リン(P)やヒ素(As),あるいは3価元素であるホウ素(B)や(Al)を添加 (ドープ) してつくられます.この微量な元素の添加が重要な意味を持ちます.これらの半導体を構成する元素の周期表の位置を図6に示します.真性半導体 (Ge や Si) の隣に,添加する元素があることが分かります.真性半導体を作る元素の最外殻の電子の数は4個です.それに対して,ホウ素(B)やアルミニウム(Al)の最外殻の電子は3個,リン(P)やヒ素(As)は5個です.

図6: 元素の周期表と半導体の材料

真性半導体

まずは,微量元素を添加しない真性半導体のシリコン (Si) の結晶を考えましょう.そのモデルを図7に示します.シリコンの結晶は共有結合します.最外殻の電子は8個でひとつのペアになり安定になり,自由電子はありません.ただし,結合はそれほど強くなく,温度を上げると動き回れる電子が増えます.とはいえ,この状態では金属に比べ電気伝導度はかなり低いです.実際の半導体材料に使われるシリコン決勝の純度がとんでもなく高く,「99.999999999%」(イレブン・ナイン)という「超高純度の単結晶構造」です.

ここではシリコンの結晶を二次元モデルで示しましたが,実際は三次元構造です.その一つの周期を図8に示します.

図7: Si の真性半導体.赤丸は最外殻の電子

図8: Si 真性半導体の三次元構造.黒丸は Si の原子.

不純物半導体

先ほどの真性半導体の結晶に,不純物を添加 (ドープ) します.と言っても極めて微量です.シリコンの原子密度は 4.96×1022 [個/cm3]です.それに対して,ドープする不純物の濃度は 1015[原子/cm3]程度です.図9は5価のリン(P)をドープした様子です.まわりのシリコンと共有結合しますが,電子がひとつあまります.電場を加えると,この電子がキャリア (担体) なり電流が流れます.図10は3価のボロン(B)をドープした様子です.まわりのシリコンと共有結合しますが,電子がひとつ不足します.これはホール(正孔)です.電場を加えると,ここに次々と電子が落ち込みます.あたかもホールがキャリア (担体) なったように電流が流れます.

図9: N型半導体.赤丸は最外殻の電子で,Pの近くに余分にある.

図10: P型半導体.赤丸は最外殻の電子.Bの近くにある青丸は正孔.

電子のエネルギー

ダイオードの動作原理

トランジスターの動作原理

ほとんどのトランジスタでは,エミッタは高濃度にドープされている. その仕事は,電子をベースに放出または注入することです. これらのベースは軽くドープされ,非常に薄く,エミッタに注入された電子の大部分をコレクタに通す. コレクタのドーピングレベルは,エミッタの重いドーピングとベースの軽いドーピングとの間の中間である.

コレクターはベースから電子を集めるので,その名前が付けられています. コレクターは3つの地域の中で最大です. それはエミッタまたはベースより多くの熱を放散しなければならない. トランジスタは2つの接合部を有する. 1つはエミッタとベースの間にあり,もう1つはベースとコレクタの間にある. このため,トランジスタは2つのダイオード,1つのエミッタダイオードおよび他のコレクタベースダイオードに類似している.

実際のトランジスターの構造を図5に示します.

図5: プレナー型トランジスター (NPN型)

基本動作

ページ作成情報

参考資料

  1. エミッターとコレクターの違いについては,「Lecture-10: BIpolar Junction Transistor」に簡単な説明が有ります.
  2. シリコンの三次元結晶構造は,File:Diamond Cubic-F lattice animation.gif から,入手しました.

更新履歴

2017年9月2日 新規作成


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