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研究 電気/電子回路 オペアンプ (応用回路)

電気/電子回路オペアンプ (応用回路)

「オペアンプとはなにか?」という問いに答えるために,オペアンプの基本を述べます.

目次


基本的な考え方

理想的なオペアンプについては,「電気/電子回路 オペアンプ (基本)」に示しました.オペアンプの基本的な使い方は — というか別の使い使い方はない — 出力を入力にフィードバックすることです.入力は二つ (V1V2),出力は一つ (Vout) です.この出力を入力の負極に戻します.そうすることにより,オペアンプの入力端子の電位差はゼロになります.さらに,入力端子へは電流が流れません.これらは,オペアンプの特徴である (1)増幅率は極めて大きい,(2)入力端子のインピーダンスは極めて大きい,(3)出力端子のインピーダンスが小さい — ことが作用しています (参照: オペアンプ (基本)).図1に,この様子を示します.

図1: オペアンプ回路の考え方

このフィードバック回路構成により,入力電圧波形に対して,様々な出力電圧波形が得られます.こん WEB ページでは,代表的なフィードバック回路を示します.

回路例

増幅回路

反転増幅回路

反転増幅回路は,電圧の符号を反転 (正⇔負)し増幅します.図2に,実際の回路を示します.Vinが入力信号,Voutが出力信号です.

オペアンプの入力端子「+」は接地 (0[V]) されているので,もう一方の入力端子「-」も 0 [V] になります.そして,入力端子「-」には電流が流れません.すると,抵抗 R1には,電流 I=Vin/R1が流れます.したがって,出力の電圧 Voutは \begin{align} V_{out} = -V_{in}\frac{R_2}{R_1} \end{align} となります.出力電圧は入力電圧の符号が反転し,R2/R1倍になることが分かります.また,この反転増幅回路の入力インピーダンスは R1です.

図2: 反転増幅回路

非反転増幅回路

符号を反転しない回路もできます.

オペアンプの入力「+」が信号の入力端子になります,入力「-」はフィードバック信号の入力になります.これらのオペアンプ入力端子のインピーダンスが極めて大きいので,電流が流れません.更に,これらの入力端子の電圧は等しくなります.すると,抵抗 R1には,電流 I=Vin/R1が流れます.同じ電流が,R2にも流れます.したがって,出力の電圧 Voutは, \begin{align} V_{out} = V_{in}\frac{R_1+R_2}{R_1} \end{align} となります.出力電圧は入力電圧の同じ符号(同位相)で,(R1+R2)/R1倍になることが分かります.また,この反転増幅回路の入力インピーダンスはオペアンプの入力インピーダンスに等しく,極めた高いインピーダンスです.

図3: 非反転増幅回路

波形整形

微分・積分回路

入力信号を積分や微分することもできます.出力 Vout は,入力 Vin を積分や微分 (正確には導関数) した値になります.この時の積分や微分の変数は時刻 t です.ここでの説明では,時刻の関数という意味で変数に (t) をつけます.おなじみの数学記号ですね.

反転積分回路

入力信号を積分する回路「反転積分回路」を図4に示します.出力 Vout(t) は,入力 Vin(t) を積分した値になります.

抵抗 R には,電流 I(t)=Vin/Rが流れます.同じ電流が,キャパシター C にも流れます.キャパシターの Vout 側の電荷量 Q(t) は \(Q(t_0)-\int_{t_0}^tI(t)\diff t\) になります.Q(t0) は,時刻 t0 の時の電荷量です.図に示した電流の向きを正としたため,積分の前の符号が負になります.

出力電圧 Voutは,キャパシタの出力側の電極の電荷量Q(t) を静電容量 C で割った値になります(注意).したがって.出力 Vout(t) は, \begin{align} V_{out}(t) = V(t_0)-\frac{1}{CR}\int_{t_0}^{t}V_{in}(t)\diff t \end{align} となります.

図4: 反転積分回路

反転微分回路

図5: 反転微分回路

ページ作成情報

参考資料

  1. このページの多くの内容は,「Operational amplifier applications」を参考にしています.

更新履歴

2017年9月2日 新規作成


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