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研究 電気/電子回路 オペアンプ (歴史)

電気/電子回路オペアンプ (歴史)

オペアンプの歴史を振り返ります.通信の始まりから,オペアンプが考えられた背景について説明します.このあたりのことが分かれば,オペアンプにも興味が湧くと思います.

目次


オペアンプ開発の歴史概観

オペアンプの歴史に関しては,素人で若輩者の私には説明できないので,資料に頼ります.ネットで調べたところ,「Op Amp History - Analog Devices」が良さそうです.そこには,オペアンプの歴史に関して,以下の記述しています.

オペアンプの歴史は真空管の時代に始まり,今日まで続いています.今日のオペアンプユーザーは,集積回路 (IC) のオペアンプの歴史に多少は精通していますが,非 IC ソリッドステートオペアンプには慣れている人はほとんどいないでしょう.真空管型のオペアンプの起源に精通している人はごくわずかです. 本書では,オペアンプの起源と進化の仕方だけでなく,最初にオペアンプの起源をもたらした主な要因も説明します.

オペアンプに関わる技術開発は,20世紀の初めに遡ることができます.この世紀のごく初期に2つの重要な発明がありました. 最初のものは増幅器ではなく,1904年に特許を取得した J. A. Fleming の「フレミングダイオード」 (図1) と呼ばれる真空管で造られたの整流器 (二極管) です.プレートが正にバイアスされている場合,フィラメント (陰極) から放出された電子はプレートに到達します.逆に負にバイアスされている場合には,電子はプレートに到達しません.このように,一方向のみに電子 (電流) を流すことができるので,交流を整流することができます.この特許は、19世紀後半のフレミングの初期の研究の集大成でした.

2つ目は増幅に密接に関連するもので,「Audion」という Lee De Forest の三極管の発明 (1906年) です (図2) .これは,信号を増幅することができる最初のアクティブデバイスです.三極管はフィラメントとプレートの間に制御グリッド電極を追加したものです.この真空管を使うと,アンプ (増幅器) を作ることができます.20世紀初頭のこれらの真空管にはいくつかの欠点がありましたが,近代的なエレクトロニクスの世界が生まれ,これ以降,重要な発明が続きました.

1920年代後半から30年代初頭のベル研でのフィードバックアンプ原理の発見が,オペアンプの真の意味での最初の発明につながりました.この画期的な発明は真空管オペアンプ (図3) の第一段階で,1940年代初頭から第二次世界大戦まで続けられます.

第二次世界大戦後,真空管オペアンプの回路は改善され,洗練されました.しかし、このオペアンプは大型でかさばり,比較的大きな電力を必要とするデバイスです.それ故,真空管オペアンプは,1950年代から1960年代にかけての小型化された固体オペアンプ (図4) に置き換えられました.

オペアンプ進化の歴史の最終段階は,1960年代半に現れた IC (集積回路)型のオペアンプです (図5, 6) .IC 技術が確立された20世紀後半には,開発はとても急速に進み,オペアンプの性能はとても向上しました.

図1: Fleming の二極管

図2: De Forest の三極管

図3: 真空管オペアンプ

図4: 個体素子オペアンプ

図5: CAN タイプオペアンプ

図6: DIP オペアンプ

オペアンプの始まり

前節の開発ストーリーを注意深く読むと,オペアンプを構成する重要な要素は「増幅」と「フィードバック」ということが分かります.フィードバックアンプは,出力の一部を入力に戻すことが基本です.全体的なゲインは下がるが、利得安定性の向上,リニアリティの向上,帯域幅の拡大,歪みの低減,入出力インピーダンスの変更などのアンプとして望ましい特性が得られます.

出力の一部を入力にフィードバックするアンプは,Bell Laboratories (ベル研) の Harold Stephen Black が発明しました.1927 年のことです.

Black のフィードバックアンプの基本は,全体的なゲインを下げるが,出力の一部を入力に戻すことにあります.これを適切に適用すると,結果として生じる増幅器は利得安定性の向上,帯域幅の拡大,低歪み,および有効に変更されたステージ入力および出力インピーダンスを提供します.Black の基本的なフィードバックアンプシステムのブロック図7に示します.順方向ゲイン記号は Black の「μ」は今日では通常「A」に置き換えられていることに注意してください.そのように使用されるように,フィードバックネットワーク β は、増幅器の全体的な伝達表現を定義する.このように,いくつかの受動部品,通常は抵抗器または時には無効ネットワークがこのシステムの利得および周波数応答特性を設定します.

図7: Black のフィードバックのブロックダイアグラム

基礎

ページ作成情報

参考資料

  1. このページの多くの内容は,「Op Amp History - Analog Devices」を参考にしています.
  2. Operational amplifier」は,オペアンプの基礎的なところを詳しく説明しています.
  3. OP アンプの基礎と負帰還のしくみ (柴田肇)」は,良い資料です.日本語なので読みやすく,初心者はこれを読むことを推奨します.

更新履歴

2017年8月25日 新規作成


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