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COMSOL計算精度メッシュと近似関数

COMSOL の計算の精度に関することを述べます..

目次


計算領域の表現と基底関数

COMSOL の計算精度は,主に次の二つの離散化の選択に依存します.(1) Physics interface の Discretization で指定する要素内値の近似関数と,(2) Component の Geometry shape function で指定する計算領域の形状表現です.前者は解の分布を要素内部で補間する関数で,後者はメッシュ要素の辺や面を曲線/曲面で表すための形状補間関数です.これらは計算精度と計算コストの両方に影響し,両者を適切に組み合わせることが重要です.

計算領域の形状表現が粗いと,いくら高次の要素を使っても,境界や曲面の誤差が残り,全体の精度が頭打ちになります.逆に形状表現を高くしても,要素内の近似関数の次数が低ければ解の精度は十分に上がりません.そのため,COMSOL では「Discretization の Shape function」と「Geometry shape function」を区別して設定する必要があります.

一般に,数学的には要素内の近似基底関数を「基底関数 (basis function)」と呼びます.FEM 分野ではこれを「Shape function (形状関数)」と呼ぶことが多く,COMSOL のメッシュ離散化でも同じ語が使われます.一方で「Geometry shape function」は,ジオメトリの形状を表現する関数であり,同じ “shape function” という名前でも役割が異なります.

COMSOL の計算精度を決める因子 (要素内値近似関数と計算領域の形状関数)
解を表す要素内値近似関数計算領域の形状を表す関数
呼称 COMSOL の Discretization: Shape function
数学一般: Basis function
Geometry shape function
指定場所 Component > Physics interface > Discretization Component > Geometry shape function
役割 要素内の未知変数を節点やガウス点で補間し,解を近似する関数 メッシュ要素の境界を線形/二次/三次などで補間し,実際の形状に近づける関数
代表的な設定 Type: Lagrange, Hermite, Argyris, Discontinuous Lagrange, Bubble, Hierarchical, Serendipity など
Order: Linear, Quadratic, Cubic, Quartic, …
Linear Lagrange, Quadratic Lagrange, Cubic Lagrange, Quartic Lagrange, Quadratic serendipity, など
効果 図1から図3に,要素内の値と基底関数の関係を示します.次数が高くなると,近似精度が上がります. 図4から図6に,要素形状の近似精度と次数の関係を示します.次数を上げると,計算領域の境界が実際の形状に近づきます.

図1: 基底関数: 一次

図2: 基底関数: 二次

図3: 基底関数: 三次

図4: 形状要素: 一次

図5: 形状要素: 二次

図6: 形状要素: 三次

その他の重要因子

計算精度を左右するのは近似関数と形状表現だけではありません.COMSOL で実際の結果精度に影響を与える代表的な因子は以下の通りです.

メッシュ解像度と品質 要素サイズ (メッシュサイズ) が十分に小さくないと,高勾配領域や境界層が正しく表現されません.また,電磁場の大きなところや変化が急峻な領域ではメッシュ精細化が必要です.また,アスペクト比の悪い要素や歪みの大きい要素は数値誤差を拡大するので,メッシュ品質にも注意します.
adaptive mesh(自動適応メッシュ)と誤差評価 COMSOL の adaptive mesh 機能を使うと,誤差の大きい領域を自動で再メッシュできます.残差ベースや解勾配ベースの適応は,単純な一様メッシュよりも効率的に精度を向上させます.
ソルバー設定と収束判定 解析が反復ソルバーを使う場合,絶対許容誤差や相対許容誤差,最大反復回数などの設定が結果に直接影響します.Solver > Study の精度設定や線形 / 非線形ソルバーのオプションを確認し,必要なら tighter tolerance を使って収束を保証します.

計算精度はメッシュの設定に大きく依存します.高精度な計算が必要な場合は,メッシュサイズを変化させて収束の様子を調べることが重要です.

ページ作成情報

参考資料

  1. COMSOL AB, "COMSOL Multiphysics® Reference Manual".
  2. COMSOL AB, "Mesh and discretization" in COMSOL Multiphysics Documentation.
  3. O. C. Zienkiewicz, R. L. Taylor, "The Finite Element Method", 7th Edition.

更新履歴

2026年06月12日 ページの新規作成
2026年06月13日 追加: 重要な精度因子と目次・参考資料の整備


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