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特殊文字・シンボル
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コンピューター LaTeX 文書作成 特殊文字・シンボル

LaTeX特殊文字とシンボル

LaTeX で,そのまま入力できない特殊文字,本文中の記号,数式記号,パッケージで追加するシンボルを書く方法を説明します.記号は,本文モードで使うものと数式モードで使うものを分けて考えると分かりやすくなります.

目次


はじめに

LaTeX では,文字によって扱いが異なります.そのまま入力できる文字もあれば,LaTeX の命令として解釈されるため,専用の書き方が必要な文字もあります.また,本文で使う記号と数式で使う記号では,適した命令が異なります.

まず,% や $ などの特殊文字を確認します.次に,本文中で使う著作権記号や通貨記号,数式で使うギリシャ文字や関係記号,さらに ifsym の図形記号を説明します.

特殊文字

LaTeX では,次の文字に特別な意味があります.本文にその文字自体を出したい場合は,表のようにエスケープします.

出したい文字 書き方 説明 (エスケープしない場合)
% \% コメント開始の文字です.
# \# マクロの引数番号に使います.
& \& 表や数式の位置合わせに使います.
$ \$ 数式モードの開始と終了に使います.
_ \_ 数式の添字に使います.
{ } \{, \} 命令の範囲や引数を表します.
\ \textbackslash LaTeX 命令の開始文字です.
< > | \textless, \textgreater, \textbar 本文中で不等号や縦棒を出すときに使います.数式では <, >, | をそのまま使えます.

チルダ ~ とキャレット ^ は,本文でそのまま出したい場合に注意が必要です.チルダは \textasciitilde,キャレットは \textasciicircum を使います.パスやプログラム片をそのまま出す場合は,verbatim や \verb を使う方が簡単です.

価格は 100\% です.
A \& B
ファイル名は sample\_data.tex です.
\textbackslash section と表示します.

本文用の記号

本文中で使う記号は,本文モード用の命令で書きます.数式記号を無理に本文で使うと,字形や空きが不自然になることがあります.

よく使う本文用記号

記号 書き方 説明
著作権記号 \copyright 著作権表示に使います.
登録商標 \textregistered 登録商標の記号です.
商標 \texttrademark 商標の記号です.
短いダッシュ \textendash 範囲や対応関係を表すダッシュです.
長いダッシュ \textemdash 文中の挿入句などに使う長いダッシュです.
上付き文字 \textsuperscript{...} 本文中で上付きの短い文字を出します.数式の指数は数式モードで書きます.
丸囲み文字 \textcircled{1} 短い文字を丸で囲みます.長い文字列には向きません.

textcomp の記号

textcomp は,TS1 エンコーディングの本文用シンボルを扱うためのパッケージです.現在の LaTeX では本文用シンボルの扱いが改善されていますが,古い環境との互換性を考える場合や,明示的に使いたい場合は読み込んでおくと分かりやすいです.

\usepackage{textcomp}
\usepackage[T1]{fontenc}

以下は textcomp で使える本文用シンボルの例です.フォントによっては表示できない記号があります.その場合は,フォント設定やコンパイルエンジンを確認します.

数式記号

数式で使う記号は,数式モードで書きます.行内の短い数式は \(...\),別行立ての数式は \[...\] を使います.古い書き方の $...$ もありますが,本文では \(...\) の方が範囲が分かりやすいです.

速度は \(v = \Delta x / \Delta t\) です.

\[
  E = mc^2
\]
種類 例 説明
ギリシャ文字 \alpha, \beta, \Gamma 変数や係数に使います.大文字と小文字で命令名が異なります.
演算記号 \times, \div, \pm 掛け算,割り算,プラスマイナスなどです.
関係記号 \leq, \geq, \neq, \simeq 大小関係や等号の変形です.
矢印 \leftarrow, \rightarrow, \Rightarrow 対応,変換,論理的な含意などに使います.
集合 \in, \subset, \cup, \cap 集合の所属,包含,和集合,共通部分です.

より多くの数式記号が必要な場合は,amsmath や amssymb を読み込みます.数学記号を探す場合は,このページ末尾の「記号の探し方」も参照してください.

\usepackage{amsmath}
\usepackage{amssymb}

ifsym のシンボル

ifsym は,時計,幾何学記号,天候記号,山岳記号,電気・論理記号,その他の記号を提供するパッケージです.TeX Live や MiKTeX には通常含まれています.必要な種類だけをオプションで読み込めます.

使い方

使いたい記号の種類をオプションに指定して読み込みます.複数の種類を使う場合は,必要なオプションをまとめて指定します.

\usepackage[geometry]{ifsym}
\usepackage[electronic,weather,misc]{ifsym}

以下では,このページで用意している記号一覧を種類別に示します.

幾何学記号

\usepackage[geometry]{ifsym} で,丸,四角,三角形,ひし形などの記号を使えます.技術書では,項目の分類,注意表示,ブロック図の補助記号などでよく使うため,元の記号表をそのまま表示します.

\usepackage[geometry]{ifsym}のコマンドと実行結果
コマンド 実行結果 コマンド 実行結果 コマンド 実行結果
\Circle \Square \Cross
\TriangleUp \TriangleLeft \TriangleDown
\TriangleRight \Diamondshape \RightDiamond
\LowerDiamond \HBar \VBar
\SquareShadowA \SquareShadowB \SquareShadowC
\FilledSquareShadowA \FilledSquareShadowC \DiamondShadowA
\DiamondShadowB \DiamondShadowC \FilledDiamondShadowA
\FilledDiamondShadowC \SpinUp \SpinDown

電気・論理記号

\usepackage[electronic]{ifsym} で,立ち上がり,立ち下がり,パルスなどの記号を使えます.論理回路,タイミング図,信号説明でよく使うため,元の記号表をそのまま表示します.

\usepackage[electronic]{ifsym}のコマンドと実行結果
コマンド 実行結果 コマンド 実行結果 コマンド 実行結果
\RaisingEdge \FallingEdge \ShortPulseHigh
\ShortPulseLow \PulseHigh \PulseLow
\LongPulseHigh \LongPulseLow

天候記号

\usepackage[weather]{ifsym} で,晴れ,雨,雪,雲などの記号を使えます.

\usepackage[weather]{ifsym}のコマンドと実行結果
コマンド 実行結果 コマンド 実行結果 コマンド 実行結果
\Sun \HalfSun \NoSun
\Fog \ThinFog \Rain
\WeakRain \Hail \Sleet
\Snow \Lightning \Cloud
\RainCloud \WeakRainCloud \SunCloud
\SnowCloud \FilledCloud \FilledRainCloud
\FilledWeakRainCloud \FilledSunCloud \FilledSnowCloud
\Thermo{3}

その他の記号

\usepackage[misc]{ifsym} で,紙,電話,手紙,放射線,サイコロなどの記号を使えます.\Cube{5} のように,引数で形が変わる命令もあります.

\\usepackage[misc]{ifsym}のコマンドと実行結果
コマンド 実行結果 コマンド 実行結果 コマンド 実行結果
\SectioningDiamond \FilledSectioningDiamond \PaperPortrait
\PaperLandscape \Cube{5} \Irritant
\Fire \Radiation \Letter
\Telephone \StrokeOne \StrokeTwo
\StrokeThree \StrokeFour \StrokeFive

このページに載せた記号で足りない場合は,The Comprehensive LaTeX Symbol List を使って探します.記号は数が多いので,先に用途を整理してから探すと早く見つかります.

探す前に確認すること

まず,その記号を本文で使うのか,数式で使うのかを決めます.本文中の単位,商標,著作権表示などは本文用の命令を使います.式の中の演算子,関係記号,集合記号などは数式モードで書きます.

次に,必要なパッケージを確認します.同じ形の記号でも,パッケージによって命令名や表示が異なる場合があります.文書全体の書体と合う記号を選ぶことも大切です.

カテゴリーから探す

The Comprehensive LaTeX Symbol List には,多数の記号が分野別に載っています.記号名が分からないときは,分野名やパッケージ名で探すと見つけやすくなります.

以下は,技術文書で使いそうなカテゴリーの例です.完全な一覧は PDF の目次で確認します.

探したい分野 Symbol List の項目例 主なパッケージ名 用途・注意
本文記号 通貨記号,法律記号,Creative Commons,古い数字 textcomp, marvosym, ccicons 本文中の単位,商標,著作権表示に使います.
数式記号 演算子,関係記号,集合記号,矢印,区切り記号 amsmath, amssymb, mathtools, stix 数式モードで使います.本文用記号と混ぜないようにします.
天文・天候 Astronomical Symbols,Weather Symbols,Cloud Genera wasysym, marvosym, ifsym, metsymb 天気図,気象,天体記号を探すときに使います.
生物・医学 Biological Symbols,Animals,Medical Symbols wasysym, stix, utfsym, twemojis 昆虫などの動物記号は,Animals や絵文字系の表も探します.
コンピューター Computer and Technology,User-Interface Symbols,Files and Folders fontawesome7, lucide-icons, typicons, vscodeicons PC,スマートフォン,フォルダー,ボタン類の記号を探せます.
交通・安全 Transportation Symbols,Safety-related Symbols fontawesome7, lucide-icons, utfsym, marvosym 交通機関,警告,案内表示の記号を探すときに使います.
地理・国旗 Geographical Symbols,Flags of Sovereign States,Non-National Flags worldflags, twemojis, euflag, maritime 国旗,EU 旗,海上信号旗,地域旗を探せます.
古代文字 Ancient languages,Hieroglyphics,Linear A,Linear B,Runes hieroglf, linearA, linearb, allrunes 古代文字は専用フォントやパッケージが必要な場合があります.
音楽 Musical Symbols,Named Clefs,Named Rests,Named Flags musixtex, harmony, musicography, lilyglyphs 音符,休符,拍子,奏法記号を探せます.
ゲーム Playing-card Suits,Playing Cards,Tarot Cards,Dice stix, ifsym, epsdice, twemojis トランプ,タロット,サイコロなどの記号を探せます.
装飾記号 Dingbats,Stars,Flowers,Geometric Shapes,Check Marks pifont, bbding, ifsym, marvosym 見出しや箇条書きの飾りに使えます.使いすぎには注意します.

掲載されている記号のすべてが標準の LaTeX 環境で使えるわけではありません.表には必要なパッケージ名が載っているので,目的の記号を決めた後で,そのパッケージが TeX Live に入っているか,本文モード用か数式モード用かを確認します.

PDF と texdoc で探す

A4 版 PDF は CTAN ミラーの PDF から開けます.CTAN の version 16.0 では,25,731 個の記号が収録されています.PDF では,記号の形,命令名,必要なパッケージを確認できます.

ローカルに TeX Live を入れている場合は,コマンドラインで以下のようにして説明書を開けます.

texdoc symbols
texdoc ifsym

PDF ビューアーで検索するときは,flag,animal,ancient のような英語の分野名で検索します.命令名が分かっている場合は,命令名でも検索できます.

ページ作成情報

参考資料

  1. The Comprehensive LaTeX Symbol List, CTAN, version 16.0, 2026. A4 版 PDF は CTAN ミラー を参照.
  2. ifsym - A collection of symbols, CTAN.
  3. LaTeX2e font selection, The LaTeX Project, 2025-09.

更新履歴

2014年12月05日 ページの新規作成
2026年05月16日 説明を整理し,特殊文字,本文用記号,数式記号,ifsym,カテゴリー別の探し方,記号の探し方を追加


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