ソースファイルの構造
LaTeX のソースファイルは,プリアンブルと本文に分かれます.プリアンブルは \documentclass から \begin{document} までの部分で,文書全体の設定を書きます.本文は \begin{document} と \end{document} の間に書きます.
\documentclass[a4paper,10pt]{jsarticle}
% パッケージや文書全体の設定
\usepackage{amsmath}
\begin{document}
本文を書きます.
\end{document}
文字コード
LaTeX2e 2018-04-01 以降は,UTF-8 が標準の入力文字コードです.新しく作る文書は UTF-8 で保存するとよいでしょう.古い文書では EUC-JP や Shift_JIS が使われていることがあります.その場合は,ソースファイルの文字コード,TeX エンジン,エディターの設定をそろえます.
エディターが文字コードを誤判定する場合は,ソースファイルの先頭に次のような指定を書いておくと便利です.
% -*- coding:utf-8 -*-
クラス指定方法
文書クラスは,文書の基本的な種類と体裁を決めます.LaTeX ソースの最初に \documentclass を書き,必要に応じてオプションを指定します.
\documentclass[オプション]{文書クラス}
たとえば,A4 用紙,10 ポイント,日本語の短い文書を作る場合は,次のように書けます.
\documentclass[a4paper,10pt]{jsarticle}
代表的な文書クラス
文書クラスは,使用する TeX エンジンや目的に合わせて選びます.古い日本語文書では jarticle などがよく使われますが,新しく作る文書では jsarticle,jlreq,bxjsarticle なども選択肢になります.
| 文書クラス |
用途 |
| article |
英語などの短い文書や論文向けの標準クラスです.通常は \section から本文を構成します. |
| report |
報告書や長めの文書向けの標準クラスです.\chapter を使えます. |
| book |
書籍向けの標準クラスです.章立てや両面印刷を想定した設定に向きます. |
jarticle jreport jbook |
pLaTeX 用の古い日本語標準クラスです.既存文書との互換性が必要な場合に使います. |
jsarticle jsreport jsbook |
日本語文書でよく使われるクラスです.pLaTeX や upLaTeX で扱いやすい設定になっています. |
| jlreq |
日本語組版処理の要件に基づくクラスです.pLaTeX,upLaTeX,LuaLaTeX で使えます. |
bxjsarticle bxjsreport bxjsbook |
複数の TeX エンジンで使える日本語クラスです.エンジンを切り替える文書で便利です. |
オプション
オプションを使うと,用紙サイズ,文字サイズ,段組などを指定できます.使えるオプションと既定値は文書クラスによって異なるため,必要に応じて各クラスの説明を確認します.
| 属性 |
オプション |
説明 |
| 文字サイズ |
10pt 11pt 12pt |
本文の基本文字サイズを指定します.標準クラスでは 10pt が既定です. |
| 用紙サイズ |
a4paper a5paper b5paper |
A4,A5,B5 などの用紙サイズを指定します.日本語文書では A4 がよく使われます. |
| 用紙サイズ |
letterpaper legalpaper executivepaper |
レター,リーガル,エグゼクティブの各サイズを指定します. |
| 用紙方向 |
landscape |
用紙を横向きにします.指定しない場合は縦向きです. |
| ページ |
oneside twoside |
片面印刷用または両面印刷用のレイアウトを指定します. |
| 段組 |
onecolumn twocolumn |
1 段組または 2 段組を指定します.3 段組以上は multicol パッケージを使います. |
| 表題 |
titlepage notitlepage |
表題を独立したページにするか,本文の先頭に置くかを指定します. |
| 章の開始 |
openright openany |
report や book で,章を右ページから始めるか,次のページから始めるかを指定します. |
| 確認用 |
draft final |
作業中の確認用設定と,最終出力用設定を切り替えます. |
| 数式 |
leqno fleqn |
式番号を左側に置く,または別行立て数式を左寄せにします. |
文書クラスだけでは足りない設定は,プリアンブルに書きます.プリアンブルでは,パッケージの読み込み,余白やページ番号の設定,独自コマンドの定義などを行います.
パッケージ
パッケージは \usepackage で読み込みます.オプションを指定する場合は,角括弧の中に書きます.
\usepackage{amsmath}
\usepackage{graphicx}
同じ機能のパッケージを重ねて読み込むと,エラーや意図しない出力の原因になります.必要なパッケージだけを読み込み,詳しい使い方は texdoc などで確認します.
ページ設定
余白などのページ設定は,geometry パッケージを使うと簡潔に指定できます.
\usepackage[a4paper,margin=25mm]{geometry}
ページ番号を表示しない場合は,次のように指定します.文書全体に適用する場合は \pagestyle,特定のページだけに適用する場合は \thispagestyle を使います.
\pagestyle{empty}
\thispagestyle{empty}
スタイルファイル
自作
自作のスタイルファイルは,拡張子 .sty を付けて保存します.読み込むときは拡張子を省き,\usepackage{ファイル名} と書きます.
\usepackage{my_style}
一つの文書だけで使う場合は,LaTeX ソースと同じディレクトリーに置くのが簡単です.複数の文書で使う場合は,TeX が検索できる texmf ツリーに置きます.詳しくは「スタイルファイル」のページを参照してください.
私の自作スタイルファイルは以下です.
| スタイルファイル |
内容 |
| masashi_07.sty |
よく使うパッケージと独自コマンドをまとめた自作スタイルファイル.余白,図表,キャプション,参照,数式,単位,箇条書き,プログラムリストなどの設定をまとめています. |
| OmegaCover_02.sty |
表紙を作成するための自作スタイルファイル.顧客名,文書番号,版,分類,表題,所属,著者,署名などを指定して表紙を作成します. |
| mysect.sty |
日本語文書の見出しを整えるための自作スタイルファイル.節見出しなどの体裁を調整するときに使います. |
公開されているスタイルファイル
CTAN などで公開されているスタイルファイルは,TeX ディストリビューションに含まれていることが多いです.必要なスタイルファイルが見つからない場合は,TeX ディストリビューションのドキュメントや CTAN を検索してみてください.
具体的なスタイルファイルのインストール方法は,TeX ディストリビューションや OS によって異なります.一般的には,スタイルファイルを TeX が検索できるディレクトリーに置き,必要に応じてファイルデータベースを更新します.
TeXLive をインストールすると,多くのスタイルファイルが最初から使えるようになっています.必要なスタイルファイルが見つからない場合は,TeXLive のドキュメントや CTAN を参照してみてください.
私がよく使う一般に公開されているスタイルファイルは以下です.
| スタイルファイル |
内容 |
afterpage.sty lscape.sty |
ページ出力のタイミングや横向きページを制御するためのスタイルファイル.大きな図表を次ページや横向きページに置くときに使います. |
amsmath.sty amssymb.sty |
数式を記述するための基本的なスタイルファイル.整列した数式,記号,定理環境などと組み合わせて使います. |
array.sty multirow.sty booktabs.sty |
表を整えるためのスタイルファイル.列の書式指定,複数行セル,見やすい罫線などに使います. |
arydshln.sty threeparttable.sty hhline.sty |
表の罫線や注記を細かく調整するためのスタイルファイル.破線,表脚注,複雑な横罫線を使うときに利用します. |
| atbegshi.sty |
ページ出力時に処理を追加するためのスタイルファイル.masashi_07.sty では PDF の日本語文字化け対策に使っています. |
braket.sty mathrsfs.sty |
ブラケット記法や数式用の花文字を使うためのスタイルファイル.量子力学や数学記号を書くときに使います. |
caption.sty subcaption.sty |
図表のキャプションを調整するためのスタイルファイル.副図や副表を使うときにも利用します. |
| color.sty |
文字や図表に色を付けるためのスタイルファイル.\textcolor で赤字や青字の注記を書くときに使います. |
enumerate.sty paralist.sty |
箇条書きや番号付きリストを調整するためのスタイルファイル.番号形式や行中リストを指定するときに使います. |
| fancybox.sty |
枠付きの文章や飾り枠を作るためのスタイルファイル.注意書きや強調したい領域を囲むときに使います. |
| fancyhdr.sty |
ヘッダーとフッターを設定するためのスタイルファイル.文書名や機密表示などをページ上部に出すときに使います. |
footnote.sty tablefootnote.sty |
表の中で脚注を使うためのスタイルファイル.通常の表組みで脚注が扱いにくい場合に使います. |
| geometry.sty |
用紙サイズや余白を指定するためのスタイルファイル.masashi_07.sty では上下左右の余白をまとめて設定しています. |
| graphicx.sty |
図を挿入するためのスタイルファイル.\includegraphics で PDF,PNG,JPEG などの画像を読み込みます. |
hyperref.sty pxjahyper.sty |
PDF のリンク,しおり,相互参照を扱うためのスタイルファイル.日本語文書では pxjahyper も併用し,PDF しおりの文字化けを防ぎます. |
| ifsym.sty |
幾何学記号,電子記号,天気記号などを使うためのスタイルファイル.本文中に特殊な記号を入れるときに使います. |
| listings.sty |
プログラムリストを表示するためのスタイルファイル.行番号,枠,折り返しなどを設定できます. |
longtable.sty dcolumn.sty colortbl.sty |
長い表,小数点位置をそろえた列,色付きの表を作るためのスタイルファイル.ページをまたぐ表や数値表に使います. |
mdframed.sty theorem.sty ascmac.sty |
定理や補足説明を枠付きで表示するためのスタイルファイル.見出し付きの囲み記事や定理環境を作るときに使います. |
| pdfpages.sty |
外部 PDF を文書中に挿入するためのスタイルファイル.別に作成した PDF ページをそのまま取り込むときに使います. |
| pxrubrica.sty |
日本語のルビを付けるためのスタイルファイル.専門用語や読みにくい語に読みを添えるときに使います. |
siunitx.sty mhchem.sty |
単位や化学式を整えて書くためのスタイルファイル.数値と単位,化学式,反応式を読みやすく記述できます. |
titleref.sty nameref.sty usebib.sty url.sty |
参照や URL 表示を補助するためのスタイルファイル.節タイトルの参照,文献データの利用,URL の表示に使います. |
| tocloft.sty |
目次,図目次,表目次の体裁を調整するためのスタイルファイル.番号幅や余白を整えるときに使います. |
| type1cm.sty |
表紙などで大きな文字を使うためのスタイルファイル.任意サイズの Computer Modern フォントを扱いやすくします. |
| ulem.sty |
下線や取り消し線を使うためのスタイルファイル.\sout で取り消し線を付けられます. |
wrapfig.sty rotating.sty float.sty |
図表の配置を細かく制御するためのスタイルファイル.回り込み,回転,固定位置指定などに使います. |