4 軸対称定在波問題

4.1 汎関数

ここでは、図1のような、軸対称空洞内部の電磁場を求めるための汎 関数を示す。問題は定在波に限るものとする。

軸対称問題は、円柱座標系を使うのがセオリーである。この場合、空洞の形状は完全軸対 称である。定在波の場合、磁場は実数として取り扱うことができる。式 (26)では円柱座標系の回転の演算が表れ、それは

$\displaystyle \nabla\times \boldsymbol{H}$ $\displaystyle = \left[\frac{1}{r} \if 11 \frac{\partial H_z}{\partial \theta} \...
...se \frac{\partial^{1} H_r}{\partial \theta^{1}}\fi \right] \hat{\boldsymbol{z}}$ (33)

である。

一般には、これを、汎関数の式(26)に代入することになる。し かし、通常の空洞では最も共振周波数の低いモードが重要になる。図 1の加速空洞の場合、最低次のTMモードが運転に使われる。これが、 運転モードとなり、真っ先に解析したいモードである。このモードは、場が $ \hat{\boldsymbol{\theta}}$方向の依存性を持たず、磁場は $ H_{\theta}$のみである。このモー ドの磁場の回転は、

$\displaystyle \nabla\times \boldsymbol{H}$ $\displaystyle = \left[- \if 11 \frac{\partial H_{\theta}}{\partial z} \else \fr...
...frac{\partial^{1} }{\partial r^{1}}\fi (rH_{\theta})\right]\hat{\boldsymbol{z}}$    
  $\displaystyle =\left(- \if 11 \frac{\partial H_{\theta}}{\partial z} \else \fra...
...lse \frac{\partial^{1} H_\theta}{\partial r^{1}}\fi \right)\hat{\boldsymbol{z}}$ (34)

となる。この回転の結果を汎関数の式(26)に適用すると、

$\displaystyle F[H_\theta]$ $\displaystyle =\int\left[\left( \if 11 \frac{\partial H_{\theta}}{\partial z} \...
...artial r^{1}}\fi \right)^2 -\left(\frac{\omega}{c}\right)^2 H_\theta^2\right]dV$    
  $\displaystyle =\int\left[\left( \if 11 \frac{\partial H_{\theta}}{\partial z} \...
...theta}{r}\right)^2 -\left(\frac{\omega}{c}\right)^2 H_\theta^2\right]2\pi rdrdz$ (35)

となる。

4.2 電場の計算

有限要素法を用いて、式(35)の第1変分がゼロとなる $ H_{\theta}$が、軸対称空洞の磁場になる。この磁場から、電場を求めるためには、式 (4)を使う。これを、式(19)を 変形したように、時間の微分の項を$ -i\omega$に置き換えと、

$\displaystyle \nabla\times \boldsymbol{H}= -i\omega\boldsymbol{D}$ (36)

となる。式(5)を使うと電場は

$\displaystyle \boldsymbol{E}=\frac{i}{\varepsilon_0\omega}\nabla\times \boldsymbol{H}$ (37)

と求められる。ここで、円柱座標系の回転 を計算することになる。それは、式(33)のとおりで、ここでは $ H_{\theta}$のみなので、先に示した式(34)の ようになる。従って、電場は

$\displaystyle E_r$ $\displaystyle = -\frac{i}{\varepsilon_0\omega} \if 11 \frac{\partial H_{\theta}}{\partial z} \else \frac{\partial^{1} H_{\theta}}{\partial z^{1}}\fi$ (38)
$\displaystyle E_z$ $\displaystyle =\frac{i}{\varepsilon_0\omega}\left(\frac{H_\theta}{r}+ \if 11 \f...
...heta}{\partial r} \else \frac{\partial^{1} H_\theta}{\partial r^{1}}\fi \right)$ (39)

となる。
ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


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