3 高階の常微分方程式

3.1 4次のルンゲ・クッタ法を使う方法

ここまで示した方法は,わりとエレガントな方法である.しかし,1階の常微分方程式しか 取り扱えないので不便きわまりないと思っている者もいるだろう.一般に,高階の常微分 方程式は,1階の連立微分方程式に変形できる.このことから,高階の常微分方程 式の近似解は,これまで示した方法を用いて計算できるようになる.諸君は,1階の常微 分方程式が計算できれば,ちょっとの工夫で高階のものも計算できるのである.

重要なことは,高階の常微分方程式を1階の連立微分方程式に直すことである.まずは, その方法を示す.例えば,次のような2階の常微分方程式があったとする.

$\displaystyle \frac{\mathrm{d}^2 y}{\mathrm{d}x^2}=f\left(x,y,\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\right)$ (28)

この方程式の右辺は, $ (x, y, \mathrm{d}y/\mathrm{d}x)$の3つの関数に見えるが,実際には独立 変数は$ x$のみである.$ y$も, $ \mathrm{d}y/\mathrm{d}x$$ x$の関数となっている.

この2階常微分方程式を1階の連立微分方程式にするために,

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}Y_0(x)&=y(x)\\ Y_1(x)&=y^{\prime}(x)\\ \end{aligned} \right.\end{equation*}

のように変数変換をする.すると,式(28)は

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}\frac{\mathrm{d}Y_0}{\mathrm{d}x}&=Y_1\\...
...c{\mathrm{d}Y_1}{\mathrm{d}x}&=f(x,Y_0,Y_1) \end{aligned} \right.\end{equation*}

と変形できる.これで,2階の常微分方程式が1階連立常微分方程式に変換されたことにな る.1階の微分方程式ということで,4次のルンゲ・クッタ法が使える.次のようにすれば よい.

\begin{equation*}\left\{ \begin{aligned}k_1&=hY_{1\_n}\\ \ell_1&=hf(x_n,Y_{0\_n}...
...+\frac{1}{6}(\ell_1+2\ell_2+2\ell_3+\ell_4) \end{aligned} \right.\end{equation*}

この漸化式を芋づる式に計算すれば,元の2階の微分方程式の近似解が求められるわけで ある.近似解$ y(x)$$ Y_{0\_i}$となり,その微分も同時に計算され$ Y_{1\_i}$であ る.


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年9月5日


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