2 電子銃

高電圧機器を設計するとき、電場をできるだけ小さくすることが重要である。そのために、 静電場の計算をすることがある。たとえば、高電圧用の碍子の設計などに使われる。その 他、高電圧機器の設計に使われている。

私が携わった加速器では、様々な高電圧機器が使われている。その中でも、図 1のような電子銃の静電場の計算は重要である。そこからでてくる 電子ビームの質が、その電極の設計に大きく依存しているからである。実際には、静電場 のみならず、電子ビームが作る電磁場も考慮して設計される。とはいえ、静電場の計算が 最も重要で、ここではそれを計算するために必要な汎関数を示すことにする。ここでは軸 対称構造の汎関数を示す。それは電子銃の構造が軸対称であるからである。他の対称性が ある場合でもよく似た計算を行えばよい。

電子銃は加速器のみならず、テレビなどのCathode Ray Tube(CRT)にも使われている。CRT の最後部には電子銃があり、そこから細い電子ビームを打ち出し、ブラウン管表面の蛍光 物質に衝突させることにより、点を発光させている。発光させる点を高速に走査すること により、1枚の絵を完成させる。その絵を1秒間に30枚作ることにより、動画にしている。 このような仕組みのCRTにも電子銃が使われており、かなり身近な機器である。

図 1: 電子銃
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.7]{figure/electron_gun.eps}



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月20日


no counter