4 情報モラル

情報モラルの考え方は,日常のモラルとなんら変わりがない.「他人に迷惑をかけない」, 「自分の行動は自分で責任をとる」と言うことである.ただ,日常生活と異なることは, 前節で述べたように影響の範囲である.時間的・空間的な拡がりが極めて大きいことであ る.

本節では,携帯電話やコンピューター,インターネットを使った情報技術の利用で,禁止 されていることを述べる.この辺りのことは内容も広く,微妙な問題も含まれる.そのた め,教員が授業をするときの参考に,独立行政法人 教員研修センターが教材を作成している.本節は,「情報 モラル研修教材2005」を大いに参考にした.

4.1 情報受信

4.1.1 情報の信憑性

4.1.1.1 信頼の確証の無い情報

新聞などマスメディアが流す情報はかなりの確度で信頼できる.なぜならば,公表した情 報の信憑性についての責任を問われるからである.細心の注意を払って情報の信憑性を確 かめ,問題ないと判断した後,マスメディアは公表する.にせ情報を流すと,多くの人が そのマスメディアを見なくなり,大きな痛手となることは明らかであろう.

一方,現代のインターネットでは,一部のマスメディアではなく,誰でもが簡単に情報を 流すことができる.加えて,その情報に対して責任を問われることもほとんどない.この 手軽さが,インターネットの良いところでもあり悪いところでもある.利点は迅速に情報 を流すことができることである.その一方,信頼性の欠ける情報が多いという欠点もある.

誰でもが自由に情報発信ができるので,膨大な量の情報が世界中に流通している.有益な 情報が圧倒的に多いが,社会の害になるような情報もある.一部の不届きな者が,意図的 にうその情報や犯罪に関わるもの,詐欺行為などの情報を流している.また,意図しない で,誤った情報を流すこともある.インターネット上に流されている情報は検証されてい ないものが多く,信憑性の確証は無いと考えて臨まなくてはならない.また,一方的かつ 恣意的なものも多く,公正と言い難い情報も多いことを知っておくべきである.

インターネットでは,害になる情報よりも,有益な情報が格段に多いことも間違いない. そこで,害になる情報を上手に排除して,有益なものを選択的に集めるテクニックが求めら れる.そのためには,ひとつの情報源に偏らず,多くのところから情報を集め,何が正し いかを見極めることが大事である.

4.1.1.2 どのように行動すべきか

それでは,内容の疑わしいページを見つけた場合,どうすればよいだろうかか?.以下のような 態度で臨めば,大怪我はしないだろう. ようするに,疑い深く,慎重に行動することが重要である.




まとめ(情報の信憑性)
  • インターネットで得られる情報は,正しいと限らない.
  • 疑わしいページを見つけた場合,反応しない,情報の真偽を確かめる,近づかな いというような態度で臨む必要がある.


4.1.2 出会い系サイト

4.1.2.1 問題点

これは,見知らぬ人同士の出会いの場を提供するwebサイトのことを言う.インターネッ ト上には,様々な出会い系サイトがある.趣味の仲間,仕事の仲間から結婚相手を探すも のもあれば,援助交際など犯罪につながるものもある.インターネットでは誰でもが簡単 に情報発信が可能なのと同じように,誰でもが簡単に出会い系サイトを作ることができる. そのため,犯罪に絡んだサイトも沢山作られている.

近年,この出会い系サイトが犯罪に絡むケースがかなり増加しており,問題視されている. 使い方を誤ると,犯罪に巻き込まれるケースが多々あり,それくらい危険なものであると いうことを認識しなくてはならない.

ただし,全ての出会い系が悪いと言っているのはなく,交友関係や視野を広げるために有 効なものもある.しかし,一度,悪い出会いサイトに足を踏み入れると,本人にとって大 変不幸な結果になることがある.先に示した偽情報とは比べものにならないくらい,本人 にとって重大な結果をもたらす.これが出会いサイトの最大の問題点である.そのため, 細心の注意をもって,アクセスする必要がある.

ネットを使った情報交換のみでも,問題が発生することがある.人と直に会うと,さら に大きな問題が発生することがある.チャットや電子メールでの出会いからストーカー行 為に発展した事例もある.実際に相手に会うことは,大きな危険が伴うことを認識しなく てはならない.

4.1.2.2 うそをついても分からない

出会い系サイトは,電子掲示板やチャット,メーリングリストで運用されている.この場 合,文字によるコミニュケーションが主体となる.そのため,簡単にうその情報を相手に 与えることができる.要するに である.基本的には信憑性のないものをつかって情報の交換を行っていることを認識して おく必要がある.うっかりうその情報で相手を信じて,自分のメールアドレスや住所,電 話番号などを知らせると,ストーカー行為に発展することもある.また,これらの情報を インターネット上に流されたら取り返しのつかないことになる.

4.1.2.3 上手に使うには

出会い系サイトの陰の側面を多く話したが,良いものもある.新しい友人や知識を広げる ために,世界中の人とつながることもできる.皆が正直に悪意無く,このシステムを使う と素晴らしいものになるであろう.そういうサイトも多数存在するので,自分にとって有効に利 用することが望ましい.ただし,いつでも細心の注意を怠ってはならない.

また,学校のPCから出会い系サイトにアクセスしてはならない.学校のものはあくまで学 習のためで,個人が楽しむためのものではない.




まとめ(出会い系サイト)
  • 出会い系サイトは誰でもが簡単に作ることができるため,犯罪などに関係する問 題のサイトがある.
  • 文字だけの情報のやりとりのため,相手をだますことは容易である.信頼性の確 証が無いことを認識しておく必要がある.
  • 実際に会うことは,かなりの危険が伴う.


4.2 情報発信

諸君がwebページや電子メールなどを使って情報を発信する場合,一般的なモラルを守る ことは言うに及ばない.例えば,誹謗中傷をしてはならないし,うその情報を流すことも 許されない.これは,3節で述べたように,インターネッ トの情報は瞬く間に世界中へ送られ,それを消し去ることが出来ないからである.このこ とは,現代の情報の性質を理解できたならば,決して許されないこととすぐに理解できる であろう.そこで,もう少し分かりにくく,インターネットで特に問題となることを取り 上げる.ここでは,著作権と個人情報の問題について説明する.

4.2.1 著作権

4.2.1.1 著作権とは

実際に,情報の発信をしてみると,著作権の問題が最も難しい.市販のゲームのソフトウェ アーをwebページに載せることは,明らかな著作権法違反で説明の必要は無いだろう.そ れに対して,文章については違反か否か分からず悩むことも多い.引用なのか複製なのか, 法律の専門家でないと答えられないような問題もでてくる.そもそも,法律の解釈も変わっ たりするのでややこしい.

著作権の定義が問題となるのだが,そもそもそれが難しい.そこで,著作権とは何かと言 うことで,独立行政法人 教員研修センター著作権 Q&Aの説明から引用する. 以下,その引用文であるが,知的所有権と書いてあるが,著作権もその一部なので,読み 替えて欲しい.

他人が作ったものをwebページに載せる場合,著作権が関わってくる.書籍や雑誌,webペー ジ等の画像・アニメーション・写真その他の素材は,全て著作物である.これは著作権者 のものであり,勝手に使ってはならない.

4.2.1.2 どうすれば良いか

他人のものを自分のものとして無断で使用することが,著作権で問題とされる.情報発信を する場合,作者にきちんと許可を得て使えば問題ない.

実際に,諸君がwebページを作成する場合,素材は次のようにするのがよいだろう.

手続きも大変なので,最後の著作者に許可を得るというのは避けたいところである.でき るだけ,著作権に関係ない素材を使って発表するのが良いだろう..

オリジナルか否かと言うことが問題となる場合がある.これは,大変難しい問題で,オリ ジナルと模倣の区別は法律の専門家でも判断が分かれることがある.諸君がwebページに 公表するに当たって,オリジナルと堂々と言えることが重要である.諸君が作るものは, 世界中を探すと似たようなものが存在する可能性が高い.このような場合でも,自分で考 え,模倣をしなかったと主張できることが重要である.それが言えれば著作権法に抵触す ることはない.もし,他の著作物を参考,あるいは引用したならば,それを明記しなくて はならない.

著作権法では複製を厳しく制限しているが,私的使用や教育目的の複製は著作権者に許可 を得ないでも認められている.ただし,家庭内や学校内などきわめて狭い範囲での使用に 限られる.教員が講義のために,書籍の一部をコピーして,学生に配布することは法律上, 問題はない.




まとめ(著作権)
  • 書籍や雑誌,webサイト等の画像・アニメーション・写真その他の素材は著作物 で,著作権法で保護されている.それを使う場合は,著作者に使用許可を得る必 要がある.
  • webページを開設する場合,著作権に配慮する必要がある.


4.2.2 個人情報の流出

4.2.2.1 個人情報とは何か

以前,プライバシーと言われていたものが,現代では個人情報と言われるようになってき ている.分かるようで分かりにくいものである.そこで,分かりやすく書いてあるwebペー ジを見つけたので引用する.以下は,はてなダイアリー中の検索に「個人情報」とキーワードを入れてでてきた文章で ある.
特定個人を識別することが可能な情報のことをさし,その情報があれば誰のことかわかっ てしまう一切の情報のこと.近年では,インターネットやPCなどのデータ収集・処理環 境の変化を考え,その情報単体では個人の識別ができないが,他の情報と容易に照合す ることができ,それによって個人を識別することができる情報も個人情報とみなすこと が一般的である.(個人情報保護法等の定義.)

住所,氏名,年齢,性別,生年月日,電話番号は,もちろん個人情報であり,個人情報の 基礎として,「基本情報」と呼ばれている.また,基本情報以外にも,国籍,人種,本籍, 勤務先,職種,地位,学歴,職歴,結婚歴,離婚歴,取引銀行,クレジットカード番号な どがあげられる.

中でも,個人の財産や債務の状況がわかってしまう個人信用情報や,社会的差別の原因と なる人種や民族,本籍地,信教,思想,医療情報,犯罪歴などは,特に取り扱いに注意す べき情報として,「センシティブ情報」と呼ばれる.

4.2.2.2 危険性

インターネットのwebページや掲示板に名前や住所,電話番号,メールアドレスなどの個 人情報を公開することは危険である.これらは,誰でもが見ることができ,容易に悪用で きる.ダイレクトメールの送付先に使われたり,ひどいものになるとストーカー行為に発 展することもある.実際に被害に遭うことが多いため,個人情報の流出に社会は過敏なま でに警戒している.

現代のネット社会では一度に大量に個人情報が漏れることがある.これが発生する と,その組織の信用は失墜するとともに,金銭的な補償も膨大なものとなる 3.それととともに,漏れた情報は世界の隅々までとてつもなく早く伝わる.さらに 悪いことに,漏れた情報の回収は,絶対に不可能である.このようなことから,個人情報 は,組織的にも個人的にも守らなくてはならない.

それでは,個人情報とはいったい何を指すのであろうか?.そして,どのようにしてそれ が漏れるのか?.防ぐにはどうしたらよいか?.考えていくことにする.

4.2.2.3 流出の防止

いろいろな方法で,インターネットを通じて,個人情報が漏洩する.悪意のある者が故意 に流出させることもあるし,不注意によりそのような結果を招くこともある.大雑把に 言って,個人情報の流出には次のようなケースが考えられる.

この4つケースのうち,組織の問題が原因となるケースは,個人で対応すること難しい. しかし,組織を厳しい目で監視することにより,それが抑止力になりうる.自分 の個人情報を持っている組織にたいして,いつも注意を払うという態度が必要であろう.

webページにアクセスしたからといって,個人情報が盗まれることはない4. webページや掲示板に書き込みを行った後,個人情報が漏洩する.インターネットに流れ た個人情報は流出する可能性があることに留意し,細心の注意をもって臨まなくてはなら ない.そのため,個人情報の書き込みは,必要最小限に留めるべきである.そして,信頼が確立 されたwebページのみに書き込むべきである.

他人の個人情報を書き込むことは,いかなる場合でも許されない.信頼が確立されたweb ページであっても,ダメである.

もちろん,個人情報が漏れない場合であれば,モラル上許される範囲の内容を自由に書い ても良い.それでも,書いた内容については,個人の責任が問われることを忘れてはなら ない.匿名であっても,詳しく調査すれば誰が書いたか分かることを忘れてはならない.




まとめ(個人情報の流出)
  • インターネットのwebページや掲示板は,誰でも見ることができるので,個人情 報を安易に公開することは危険である.
  • 無断で他人の個人情報を公開することは,プライバシーの侵害につながり,罰せ られる可能性がある.他人の個人情報は,決して公開してはならない.
  • 自分の個人情報をインターネット上に流すときは,細心の注意を払わなくてはならない.


4.3 セキュリティ

4.3.1 不正アクセス

4.3.1.1 クラッキングの問題

パスワードを盗んだり,他人のコンピューターへの不正侵入等,プログラムの盲点をつい のいたずらや犯罪行為をクラッキングと言う.巷には,このクラッキング5 方法につ いて書かれた書籍が販売されているし,webページからもそれに類する情報は容易に取得 できる.誰でもが,ほんの少しの知識でクラッキングが可能となっている.このような状 況の中,コンピューターを使うようになった初心者が,いたずら半分で,これに手を染め ることがある.

これは,現代の情報システムを揺るがす重大犯罪である.不正侵入されるとその組織や人 は,金銭的に大きな被害を被るとともに,社会的な信用が失墜する.ちょっとした 悪戯のつもりが,とてつもなく大きな結果をもたらす.

4.3.1.2 不正アクセスをすると

クラッキングは犯罪で,不正アクセス防止法により,逮捕されることがある.ちょっとし た悪戯のつもりが,社会では大きな問題として取り扱われ,犯罪になる.それほど,影響 力があり,迷惑をかける行為なのである.

この種の犯罪は必ずばれる.コンピューターの使用履歴はサーバーのログ 6に残され るため,不正アクセスの記録は簡単にたどれる.不正アクセスをしないまでも,コンピュー ターの使用履歴は全てログに残ると考えた方がよい.閲覧したwebページや,掲示板への 書き込みの記録を残すことは簡単である.このことを理解すると,慎重にコンピューター を使わなくてはならないことが理解できるであろう.

将来,この情報関係で仕事をすること目指している者は,名誉にかけてもクラッキングを してはならない.信用を失い,仕事が無くなることは間違いない.ほんとにできる人は, 他のことで自分の能力を示すだろう.




まとめ(不正アクセス)
  • 不正アクセスは,犯罪である.
  • コンピューターを使用すると使用履歴の記録(ログ)がサーバーに残される.その ため,不正アクセスはすぐにばれる.

4.3.2 パスワードの不正使用

4.3.2.1 不正使用の問題

他人のパスワードを盗んだりして,コンピューターにアクセスすることは犯罪である.ま た,他人にパスワードを教えること,貸すことことも「不正アクセス行為を助長する行為 の禁止」と法律で禁止されている.他人のパスワードでアクセスするのは,他人の鍵で他 人の家に入るのと同じである.これは不法侵入に他ならない.

コンピューターの情報,例えば使用履歴などは全て個人単位で管理されている.もし,他 人にパスワードがばれると,データが改ざんされる可能性があることは言うまでもないが, そこから不正アクセスされることがある.こうなると,個人の問題でなくなり,被害は広 範囲に及ぶ.そのため,他人のパスワードを使うことは絶対に許されないし,盗むことは 重大犯罪である.

4.3.2.2 パスワードの管理

先に述べたように,パスワードが他人にばれると,重大犯罪になる可能性がある.そのた め,パスワードは厳重に管理しなくてはならない.他人のパスワードを盗もう としてはならないし,聞き出すことも許されない.また,パスワードが盗まれてもならな い.

自分の名前や誕生日等を使った分かりやすいパスワードはセキュリティー上大きな問題で ある.アルファベットと数字を組み合わせたものが良いとされている.他人による推測が 困難で,忘れにくいパスワードを考える必要がある.パスワードを忘れると大変面倒なこ とになる.そのため,目に付くところにメモする人がいるが,それはパスワードを公開し ているのと同じで,厳禁である.




まとめ(パスワードの不正使用)
  • パスワードが他人に盗まれると,重大犯罪に使われる可能性が高い.絶対に自分 のパスワードを知られてはならないし,貸してもならない.
  • 他人のパスワードを使ってアクセスすると,法律に触れ,罰せられる.自分のパ スワードを教えることも法律で禁止されている.
  • アルファベットと数字を組み合わせて,簡単に類推できないパスワードを使うこ と.


4.4 ネチケット

ネチケット(Netiquette)とは,ネットワーク エチケット(Network Etiquette)から作られ た造語である.エチケットは礼儀・作法のことであるから,モラルよりは緩い規範と考え て良い.しかし,皆が気持ちよく過ごすためには,礼儀をわきまえた行動が求められるの は情報の世界でも同じである.社会では,礼儀をわきまえた者が大人として扱われる.

4.4.1 電子メール

4.4.1.1 書いてはならない内容

普通の手紙と同じように,電子メールでも相手の立場・気持ちを配慮して書かなくてはな らない.また,文字情報が主体なので,誤解を与えやすいのも確かである.そのため,文 章には気を付け,送信の前には一度読み直す習慣をつけるべきである.それと同時に,送 信先が正しいことも確認した方が良い.

電子メールはコミュニケーションのための便利な道具で,その性質を理解した上で,上手 に使わなくてなならない.電子メールの情報はインターネットを流れる.このことが,通 常の手紙と大きく異なる特徴を生む.電子メールの情報はコンピューターに残り,技術的 には他人が見ることができる7.そうでなくても,電子メールの情報は漏れやすいし,簡単にチェーンメール 化する.ひとたび,その内容が拡がると社会に大きな影響を及ぼす可能性がある.そのた め,次のようなメールを流してはならない.

インターネットの世界では,個人間の情報であっても外部に漏れやすい.ボタン一つで, 情報を送ることができるので,簡単である.漏れた情報は,瞬く間に拡がり,回収は不可 能である.そのため,個人間で情報を交換する電子メールであろうともその内容には注意 を払う必要がある.いくら隠しても,情報の発信元をたどることができ,ばれることを忘 れるな.

言うまでもないが,次のようなメールは倫理上,当然許されない.

4.4.1.2 チェーンメール

「この情報を10人の人に送ってください.さもなければ・・・・」のたぐいのメールを チェーンメールと言う.送られてきた人,全員がこれを実行すると莫大な数のメールが送 信されることになり,社会の大迷惑となる.このように明らかなチェーンメールは,無視 すればよい.信頼できる人から送られてきたものであっても,無視すべきである.

では,「XX病院です.輸血用のO型の血液が不足しています.このことを,みなさんに知 らせてください.」というようなメールの場合,どう対処したらよいのだろうか?.結 論は,無視すべきである.皆が,送信したらとてつもない数のメールが飛び交うことにな るからである.どのようなものでろうともチェーンメールは無視をするのが正しい態度で ある.不安ならば,その情報の信憑性を調べ正しいと分かれば,チェーンメールにならな い方法で,他の人に知らせればよい.ちゃんとした組織ならば,チェーンメールになるよ うな情報は,絶対に流さない.社会的な信用問題に関わるからである.

噂もチェーンメールになることがあるので,くれぐれも気を付けなくてはならない.「A 君が英語のテストでカンニングしたんだって・・・・」というような情報は簡単に拡がり, チェーンメール化する.悪いことに,この種の噂は拡大される傾向があり,取り返しのつ かない結果を生むことがある.インターネット上の情報は,瞬く間に世界中に拡がり,消 すことが出来ないことを忘れてはならない.A君は一生この情報を背負って,生きなくて はならない.デマ情報(もし真実であっても)により被害を被っても,それを再度流すと加 害者となる.そうならないために,噂を流すことは厳に慎むべきである.インターネット では,とくに厳しくそれが求められる.




まとめ(電子メール)
  • 電子メールは個人間の情報交換であるが,外部に漏れやすい.重大な影響を与え る可能性がある.
  • チェーンメールは,いかなる場合も流してはならない.
  • 噂もチェーンメール化になることがある.それが拡大し,大きな被害を生む可能 性がある.


4.4.2 携帯電話

4.4.2.1 使用できない場所

携帯電話は,時と場所をわきまえて使用しなくてはならない.病院や劇場などで,電源 OFFが求められたら,他人に迷惑をかけないためにも,即座に対応しなくてはならない. マナーモードも許されない場合も多いので,指示には忠実に従う必要がある.もし,この ような場所で,呼び出し音が鳴ったら,非常に恥ずかしい思いをするだろう.

授業中の携帯電話の使用は厳禁で,電源をOFFにすることに心がけよ.授業中の呼び出し 音は,非常に迷惑である.言うまでもないが,隠れて使うのも,まじめに勉強している人 にはかなり迷惑をかけている.

4.4.2.2 カメラ撮影

カメラ付き携帯電話の普及に伴い,マナー違反が問題となっている.許可無く,他人の写 真を撮って,不快感を与えるケースがある.写真を撮られることに関して不快に思う人や 不快と感じるケースがある.相手の受け取り方により,プライバシーの侵害,あるいは迷惑行 為となって法的に罰せられることもある.相手が特定できる写真を撮るときには,許可を 得るようにして,未然にトラブル防止に努めなくてはならない.

もう一つ問題となっているものが,デジタル万引きである.これは,書店で書籍や雑誌を 撮影する行為を言う.撮影した写真を個人的に利用することが,法で罰せられるか否かは 意見の分かれるところのようである.他人に見せるとか渡すとなると,肖像権や著作権が 絡んで,法律に触れる可能性がかなり高くなる.いずれにしても,書店では明らかに迷惑 を被っているので,慎むべきである.




まとめ(携帯電話)
  • 携帯電話は,時と場所をわきまえて使用しなくてはならない.授業 中は電源をOFFにするべきである.
  • 写真撮影では,他人に不快感を与えることがある.許可を得るべきである.
  • デジタル万引で,書店は迷惑(損害)を被っている.


4.5 心身の健康

4.5.1 生活習慣

4.5.1.1 ネット中毒の問題

同じ年齢で比べた場合,我々の頃と今の高専の学生では,講義中の集中力が著しく異なる. 今の学生は,授業中よく寝る.家庭での睡眠不足が原因で,それを学校で補っているので ある.深夜遅くまで,中には朝方までゲームやインターネットに興じている者がいる.コン ピューターに興味があり,プログラムに没頭しているのではない.ただ単に,遊んでいる だけで,貴重な時間を浪費している.これは,本人の人生にとって,極めて不幸なことで ある.

本校で留年あるいは退学した学生のうち,ゲームやインターネットが原因となっている者 も少なからず居る.そこまで至らなくても,学力の低下を招いていることは確かである. 自分の将来を大事にするならば,ゲームやインターネットは程々にして,節度ある生活習 慣を身につけるよう努力すべきである.

4.5.1.2 ネット中毒の防止

自分の未来に与える影響を考えることが,中毒への強い抑止効果を生むであろう.ゲーム やネットざんまいの青年期を送った者と,勉学に励んだ者の一生はどれだけ違うだろうか? 想像してみよ.

もし,不幸にしてゲームやネット中毒になったならば,医者などの専門家に早々に相談す べきであろう.周りの者やクラスメイトは,中毒になりそうな者に対して,注意を促すな りの配慮が欲しいところである.また,中毒の自己診断ができるwebページがかなりある. 6節に載せておくので,心当たりのある者は調べてみると良いだろう.

ゲームやネットの全て悪いと言っているのではない.自分の健康を考えて,程々の時間に 留めるべきである.息抜き程度で止めることができる意志を持たなければならない.




まとめ
  • ゲームやインターネットは,程々に楽しむ.長時間のゲームやインターネットは, 自分の将来を犠牲にしている.



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成18年4月11日


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