3 実験方法

3.1 手順

FFT周波数分析装置として使用するFFTハイコーダー(日置電機製)について,その操作方法 を以下に述べる.本実験では,この装置の[LIN]:リニアスペクトラム(Linear Spectrum) 機能を利用する.これは,以下のような解析機能を持っている.

$\displaystyle F(\omega)=\vert F(\omega)\vert e^{-i\phi(\omega)}$ (25)

すなわち,CH1に記憶された波形のスペクトル(振幅情報と位相情報)を明らかにすることができる.

実験は以下の手順で行う.

  1. OSC (Oscillator) の信号(被測定信号)をCH1に接続する.
  2. トリガー,時間軸(TIME/DIV),信号レベルを合わせる.このとき,オート・セッ トで時間軸をあわせたなら,5倍から10倍にセットし直す(つまり遅くする).
  3. ファンクション・キーをMEMにして,20 DIV長にセットする.
  4. STARTキーを押してプリントアウトする.
  5. その波形のスペクトルを見るときには,PRINTとSTOPキーをゆっくり同時に押して, 静かに放す.
  6. 不要なランプが消えて,"FFT FUNTION START"と記録紙にメッセージがプリントさ れれる.セレクト・キーによりセレクト・ランプを[LIN]に合わせる.
  7. STARTキーを押してFFT演算をさせる.このとき,STARTランプが点灯し,演算中で あることを示す.
  8. 演算が終わると結果がプリント・アウトされる.PRINTキーを押すと何度でもプリ ント・アウトされる.
  9. プリントアウトされたチャートから,ひずみ波交流に含まれる高調波成分の周波数 と振幅を求め,理論値と比較する.理論値は,オシロスコープによる波形観測で 得られる.
  10. 終わったら,ノーマルモードに戻るためにPRINTキーとSTOPキーをゆっくり同時に 押して,静かに放す.

以上の測定を,以下の波形で行う.

3.2 結果のまとめ方

以下のとおり,結果をまとめる.
  1. 被測定ひずみ波の形状,周波数,およびピーク値などの情報をオシロスコープの 観測により求め,表1のように記録する.
  2. 1のデータを基にして,この波形のフーリエ級数展開 を求め,表2に書く.
  3. FFT解析の出力チャートより,5次までの高調波(基本波の整数倍の周波数)の大き さを求め,表3に記述する(実測値).ただし,基本波 の大きさ(振幅)は,1とする.
  4. 先に求めた級数展開より計算値を求め,表3の計算値 項に書く.ここでも基本波の振幅は1とする.

表 1: 被測定ひずみ波の波形から直接得られる情報
波形 周波数 ピーク値 その他
正弦波      
三角波      
矩形波      


表 2: フーリエ級数展開
波形 フーリエ級数展開式
正弦波  
三角波  
矩形波  


表 3: 高調波の大きさ
波形 基本波の 第n次高調波の大きさ
大きさ n=2 n=3 n=4 n=5
正弦波 実測値 1        
  計算値 1        
三角波 実測値 1        
  計算値 1        
矩形波 実測値 1        
  計算値 1        


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年10月21日


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