2.3 実験方法

2.3.1 測定器

ここでは、表2.1に示す装置で測定を行う。

表 2.1: 測定器
装置 メーカー 型番 台数
LCR過渡応答実験装置     1
ストップウォッチ     1
オシロスコープ KENWOOD CS-5279 1
直流電源 KENWOOD PA18-1.2A 1
ファンクションジェネレーター ナショナル VP-7402A 1
デジタルマルチメーター YEW Type 2807 1

2.3.2 CR回路の過渡応答

2.3.2.1 時定数が長い場合

  1. 2.4の回路を作成する。
    • 電圧$ V_C$は、デジタルマルチメータで測定する。
    • 電源電圧$ E$は、直流10[V]程度とする。
    • コンデンサーは、20[$ \mu $F]程度の電解コンデンサーを使用する。これには極性 があるので注意すること。また、テスターで電圧を測定して、充電されているよ うであれば、1[k$ \Omega $]程度の抵抗を介して放電させること。
    • 抵抗は1[M$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コンデンサーの容量を記録する。併せて、抵抗値も測定して記録する。
  3. 時定数$ \tau $を求める。時定数は、$ \tau=CR$である。
  4. コンデンサーの電圧がゼロであることを確認してスイッチをONにする。
  5. 132秒まで3秒毎に電圧を測定し、表2.2のように記録 する。
  6. 時定数の5倍以上の時間が経過した後、コンデンサーの電圧を測定し、それを電源 電圧$ E$とする。これも記録すること。
  7. 理論値を次式により計算し、表に記入する。

    $\displaystyle V_C=E(1-e^{-\frac{t}{CR}})$ (2.34)

図 2.4: CR直列回路の過渡応答測定
\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/LCR_response/measure_CR1.eps}

表 2.2: CR回路の過渡応答($ \tau $が大きいとき)
E=        [V],    C=        [F],    R=        [$ \Omega $]
時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V] 時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V] 時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V]
[sec] 理論値 実測値 [sec] 理論値 実測値 [sec] 理論値 実測値
0     45     90    
3     48     93    
6     51     96    
9     54     99    
12     57     102    
15     60     105    
18     63     108    
21     66     111    
24     69     114    
27     72     117    
30     75     120    
33     78     123    
36     81     126    
39     84     129    
42     87     132    

2.3.2.2 時定数が短い場合

  1. 2.5の回路を作成する。
    • 電圧$ V_C$$ V_E$は、オシロスコープで測定する。
    • 発振器OSCは、矩形波を発生させる。振幅は1[V]程度とする。50%のデューティ で、繰り返しは時定数の20倍以上とする。
    • コンデンサーは、1[nF]程度の電解コンデンサーを使用する。
    • 抵抗は10[k$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コンデンサーの容量を記録する。併せて、抵抗値も測定して記録する。
  3. 時定数$ \tau $を求める。
  4. オシロスコープの波形を表2.3に記録する。
  5. 時定数の5倍以上の時間が経過した後、コンデンサーの電圧を測定し、それを電源 電圧$ E$とする。これも記録すること。
  6. 理論式を計算し、表に記録する。

図 2.5: CR直列回路の過渡応答測定


\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/LCR_response/measure_CR2.eps}
図: CR回路の過渡応答($ \tau $が小さいとき)

E=         [V] 時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V]
C=         [F] [$ \mu $sec] 理論値 実測値
R=         [$ \Omega $]      
         
         
         
         

2.3.3 LR回路の過渡応答

  1. 2.6の回路を作成する。
    • 電圧$ V_R$$ V_E$は、オシロスコープで測定する。
    • 発振器OSCは、矩形波を発生させる。振幅は1[V]程度とする。50%のデューティ で、繰り返しは時定数の20倍以上とする。
    • コイルは、9[mH]程度のものを使用する。
    • 抵抗は50[$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コイルのインダクタンス$ L$を記録する。併せて、コイルの抵抗$ R_L$も測定して 記録する。
  3. 抵抗の抵抗値$ R_0$を測定して、結果を記録する。
  4. 時定数$ \tau $を求める。 $ \tau=L/(R_L+R_0)$である。
  5. オシロスコープの波形を観測し、抵抗の電圧$ V_R$を表 2.4に記録する。
  6. 時定数の5倍以上の時間が経過した後、抵抗の電圧$ V_R$を測定し、それを電源 電圧$ E$とする。これも記録すること。
  7. 理論式を計算し、表に記録する。

    $\displaystyle V_R=\frac{R_0}{R_L+R_0}E(1-e^{-\frac{R_L+R_0}{L}t})$ (2.35)

  8. 以上の測定を、抵抗$ R_0=50$[$ \Omega $]に引き続き、100[$ \Omega $]と 1000[$ \Omega $]でも実施する。

図 2.6: LR直列回路の過渡応答測定


\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/LCR_response/measure_LR.eps}
図: LR回路の過渡応答

E=         [V] 時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V]
L=         [H] [$ \mu $sec] 理論値 実測値
R$ _0$=         [$ \Omega $]      
R$ _L$=         [$ \Omega $]      
         
         
         

2.3.4 LCR回路の過渡応答

2.3.4.1 過減衰

  1. 2.7の回路を作成する。
    • 電圧$ V_R$$ V_E$は、オシロスコープで測定する。
    • 発振器OSCは、矩形波を発生させる。振幅は1[V]程度とする。50%のデューティ で、繰り返しは時定数の20倍以上とする。
    • コイルは、$ L$=9[mH]程度のものを使用する。
    • コンデンサーは、$ C=$0.5[$ \mu $F]程度のものを使用する。
    • 抵抗は、$ R_0=$1[k$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コイルのインダクタンス$ L$を記録する。併せて、コイルの抵抗$ R_L$も測定して 記録する。
  3. コンデンサーの容量$ C$を記録する。
  4. 抵抗の抵抗値$ R_0$を測定して、結果を記録する。
  5. オシロスコープの波形を観測し、抵抗の電圧$ V_R$を表 2.5に記録する。
  6. 波形が十分安定した後、電源の電圧$ E$を測定し、それを記録する。
  7. 理論式を計算し、表に記録する。

    $\displaystyle V_R$ $\displaystyle =\frac{R_0}{\gamma L}Ee^{-\alpha t}\sinh(\gamma t)$ (2.36)

    ただし、

    $\displaystyle \alpha$ $\displaystyle =\frac{R_L+R_0}{2L}$ (2.37)
    $\displaystyle \gamma$ $\displaystyle = \frac{1}{2L}\sqrt{(R_L+R_0)^2-\frac{4L}{C}}$ (2.38)

    である。

図 2.7: LCR直列回路の過渡応答測定


\includegraphics[keepaspectratio, scale=1.0]{figure/LCR_response/measure_LCR.eps}
図: LCR回路の過渡応答

E=         [V] 時間 $ t$ 電圧$ V_C$ [V]
L=         [H] [$ \mu $sec] 理論値 実測値
C=         [F]      
R$ _L$=         [$ \Omega $]      
R$ _0$=         [$ \Omega $]      
         
         

2.3.4.2 臨界減衰

  1. 2.7の回路を作成する。
    • 電圧$ V_R$$ V_E$は、オシロスコープで測定する。
    • 発振器OSCは、矩形波を発生させる。振幅は1[V]程度とする。50%のデューティ で、繰り返しは時定数の20倍以上とする。
    • コイルは、$ L$=9[mH]程度のものを使用する。
    • コンデンサーは、$ C=$30[nF]程度のものを使用する。
    • 抵抗は、$ R_0=$1[k$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コイルのインダクタンス$ L$を記録する。併せて、コイルの抵抗$ R_L$も測定して 記録する。
  3. コンデンサーの容量$ C$を記録する。
  4. 抵抗の抵抗値$ R_0$を測定して、結果を記録する。
  5. オシロスコープの波形を観測し、抵抗の電圧$ V_R$を表 2.5に記録する。
  6. 波形が十分安定した後、電源の電圧$ E$を測定し、それを記録する。
  7. 理論式を計算し、表に記録する。

    $\displaystyle V_R$ $\displaystyle =\frac{R_0}{L}Ete^{-\alpha t}$ (2.39)

    ただし、

    $\displaystyle \alpha$ $\displaystyle =\frac{R_L+R_0}{2L}$ (2.40)

    である。

2.3.4.3 減衰振動

  1. 2.7の回路を作成する。
    • 電圧$ V_R$$ V_E$は、オシロスコープで測定する。
    • 発振器OSCは、矩形波を発生させる。振幅は1[V]程度とする。50%のデューティ で、繰り返しは時定数の20倍以上とする。
    • コイルは、$ L$=9[mH]程度のものを使用する。
    • コンデンサーは、$ C=$1[nF]程度のものを使用する。
    • 抵抗は、$ R_0=$1[k$ \Omega $]程度のものを用いる。
  2. コイルのインダクタンス$ L$を記録する。併せて、コイルの抵抗$ R_L$も測定して 記録する。
  3. コンデンサーの容量$ C$を記録する。
  4. 抵抗の抵抗値$ R_0$を測定して、結果を記録する。
  5. オシロスコープの波形を観測し、抵抗の電圧$ V_R$を表 2.5に記録する。
  6. 波形が十分安定した後、電源の電圧$ E$を測定し、それを記録する。
  7. 理論式を計算し、表に記録する。

    $\displaystyle V_R$ $\displaystyle =\frac{R_0}{\beta L}Ee^{-\alpha t}\sin(\beta t)$ (2.41)

    ただし、

    $\displaystyle \alpha$ $\displaystyle =\frac{R_L+R_0}{2L}$ (2.42)
    $\displaystyle \beta$ $\displaystyle = \frac{1}{2L}\sqrt{\frac{4L}{C}-(R_L+R_0)^2}$ (2.43)

    である。

ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成17年5月13日


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