6 ニュートン法と2分法の比較

6.1 解への収束速度

6に、二分法とニュートン法の解への近 づき具合を示す。二分法に比べ、ニュートン法が解への収束が早いことがわかる。前者は 二次収束で、後者は一次収束であることがグラフより分かる。二分法は、10回の計算で、 $ 2^{-10}=1/1024$程度になっている。

二分法に比べて、ニュートン法は収束が早く良さそうであるが、次に示すように解へ収束 しない場合があり問題を含んでいる。

図 6: 二分法とニュートン法の計算回数(反復回数)と誤差の関係
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.7]{figure/Graph/Bisection_Newton.eps}

6.2 ニュートン法の問題点

アルゴリズムから、2分法は解に必ず収束する。ただし、この方法は、収束のスピードが 遅く、それが欠点となっている。一方、ニュートン法は解に収束するとは限らない。初期 条件に依存する場合がある。厳密にその条件を求めるのは大変なので、初期条件により収 束しない実例を示す。

非線形方程式

$\displaystyle 3\tan^{-1}(x-1)+\frac{x}{4}=0$ (11)

の解を計算することを考える。これは、初期値のより、収束しない場合がある。例えば初 期値$ x_0=3$の場合、図7のように収束しない。これを初期値 $ x_0=2.5$にすると図8のように収束する。

このようにニュートン法は解に収束しないで、振動する場合がある。こうなる と、プログラムは無限ループに入り、永遠に計算し続ける。これは資源の無駄 遣いなので、慎むべきである。通常は、反復回数の上限を決めて、それを防ぐ。 ニュートン法を使う場合は、この反復回数の上限は必須である。

実際には収束しない場合のほうが稀であるので、ニュートン法は非常に強力な 非線型方程式の解法である。ただ、反復回数の上限を決めることを忘れてはならない。

図 7: ニュートン法で解が求まらない場合
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.7]{figure/comv_hasan/hasan.eps}
図 8: ニュートン法で解が求まる場合
\includegraphics[keepaspectratio, scale=0.7]{figure/comv_hasan/comb.eps}



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成16年9月13日


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