3 実際の計算方法

3.1 ガウス・ザイデル法

境界条件、境界でのポテンシャルの値を決めることで、方程式と未知数の数が 一致することは前に示したとおりである。したがって、連立方程式を解けば、 格子点のポテンシャルは分かることになる。しかし、実際問題この方程式を作 るのが大変である。未知数のポテンシャルは、分かりやすくするために $ U_{i\,j}$と行列で表示したが、実際に連立方程式を解く場合、未知数として ベクトルになる。この式を書くのは大変厄介である。本当に大変かどうかは、 諸君が実際に、係数行列と同次項を求めてみれば分かる。

そこで、次のお手軽な方法で連立方程式を解くことにする。この方法は、連立 方程式の係数行列や同次項を求める必要がなく、プログラムは非常に簡単にな る。

  1. 外周の境界上の格子点のポテンシャルの値を$ U_{i\,j}$に代入する。こ の値は、これ以降、ずっと一定とする。
  2. 電極の内部の格子点のポテンシャルの値を$ U_{i\,j}$を代入する。この 値も、これ以降、ずっと一定とする。
  3. 計算すべき内部の格子点のポテンシャルを、


    に従い計算する。
  4. $ U_{i\,j}$が収束するまで、繰り返し、式 10を計算する。

実際、この方法で無限の回数ループ処理をすれば、真の解に収束するはずであ る。このように、反復により解に収束させる方法を反復法と言う。とくに、こ こで示した方法をガウス・ザイデル法という。

ただこの方法は効率が悪く、実用的ではないがプログラムが簡単なので、ここ では採用する。いろいろな反復法があるので、興味のある人は調べてみるのが 良いだろう。




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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月21日


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