Yamamoto's Laboratory
 
パッケージ
 
 
 

パッケージとは?

デフォルトの設定で使うならば,ここで示す知識は不要です.LaTeX のデフォルトの設定は良くできており,十分美しい文書に仕上がります.

パッケージを追加することで,LaTeX の機能は拡張できます.「こんな機能が有れば便利なのになー」と思うときに機能を拡張します.自分で作成することも可能ですが,かなりの技量が要求されます.そこで,普通のユーザーは世界中で開発/公開されているパッケージを使います.追加パッケージは,The Comprehensive TeX Archive Network (CTAN) にたくさん有り,きっと読者の希望のものが見つかるでしょう.他のサイトにも公開されているでしょうが,ここは有名ところです.

多くのパッケージは,TeX Live のセットアップ時に,一緒にインストールされます.機能は,スタイルファイル (*.sty) という形で提供されます.その確認は,コマンド「kpsewhich パッケージ名.sty」で調べることができます.パッケージがインストールされていれば,パスが表示されます.何も表示されない場合は,そのパッケージはインストールされていません.

パッケージの追加 (TeX Live マネージャー)

TeX Live では TeX Live Manager (tlmgr) を使うと,比較的簡単に追加パッケージ (Extra Package) をインストールできます.とはいえ,通常使うほとんどのパッケージは TeX Live のインストール時に同時にインストールされるので,ユーザーが設定することはほとんどありません.

初期化

コマンド「tlmgr」でパッケージを管理するためには,root で初期化が必要です.理由は分かりませんが,root になり,作業を進める必要があります.

$ sudo su -
# tlmgr init-usertree

追加と削除

tlmgr を使ったパッケージの追加/削除のコマンドは,「tlmgr install <package1> <package2> …」と「tlmgr remove <package1> <package2> …」です.

インストールされているパッケージを削除し,インストールしてみましょう.例として,パッケージ「subfigure」を使います.

  1. まずは,このパッケージがインストールされているか否かを確認します.
    $ kpsewhich  subfigure.sty
    パスが表示されれば,インストールされています.
  2. インストールされていれば,root になり,削除します.
    $ sudo  su  -
    # tlmgr  remove  subfigure

パッケージの追加 (マニュアル)

ダウンロード

追加するパッケージは,The Comprehensive TeX Archive Network (CTAN) で見つけることができます.CTAN 内のエキストラパッケージのページの「Contained in」で,「TeX Live as パッケージ名」あるいは,「MiKTeX as パッケージ名」と記載があることがあります.TeX Live を使っている場合,LaTeX の texmf.cnf の環境変数 TEXMFDIST (参考:設定ファイル)のサブディレクトリーに,インストールします.ディレクトリーは,「kpsewhich -var-value TEXMFDIST」で調べることができます.MiKTeX は使っていないので,私には分かりません.

LaTeX の機能を拡張するためのエキストラパッケージには,通常,DOCTeX(*.dtx)と installation routine (*.ins) ファイルが含まれます.前者(*.dtx)には,パッケージプログラムとドキュメントが含まれたファイルです.後者は,インストール手順が書かれたファイルです.エキストラパッケージをインストールするときには,この二つのファイルが必要です.二つのファイルが無い場合は,(1) LaTeXのバージョンを変えない限りアップデートしない大きなバンドルの一部,(2)古いあるいは単純なパッケージで dtx を使用しない/するまでもない—のいずれかです.

マニュアルインストール

以下に示す 6 つのステップを踏むことにより,ダウンロードしたパッケージをインストールできます.

  1. ファイルの解凍.通常は,zip ファイルなので解凍します.

多くの場合、簡単な説明が書かれた readme.txt があります.インストール前に,目を通すと良いでしょう.

インストールファイル作成

The Comprehensive TeX Archive Network (CTAN) には,さまざまなパッケージファイルがあります.そのパッケージファイルから,便利なスタイルファイルを生成することができます.たいてい,パッケージは以下のようなファイルから構成されます.

README 最初に読むべき説明.readme や readmi.txt の場合もあります.
*.sty スタイルファイル.
*.dtx 詳しくは分かりませんが,パッケージの本体のようです.
*.ins パッケージ本体(*.dtx)からスタイルファイル生成に使います.
*.pdf 取扱説明書の場合が多いです.

パッケージからスタイルファイルを生成するためには,二つのファイル「*.dtx」と「*.ins」が必要です.パッケージ本体(*.dtx)からスタイルファイル(*.sty)は,コマンド「latex」で生成されます.例えば,「hoge.dtx」と「hoge.ins」の場合には,次のようにします.

$ latex  hoge.ins

すると,マニュアルと共にスタイルファイル「hoge.sty」ができあがります.このスタイルファイルは次節の「スタイルファイルの追加方法」に従い,システムに反映させます.

インストール先

ユーザーが外部パッケージをインストールする場合,TeX システムのローカルインストールディレクトリーにそのパッケージのファイルをコピー/移動します.元々システムがインストールするディレクトリーにファイルを保管すると,誤って必要なファイルを上書きする可能性が有ります.また,システムをアップデートした時に削除されるかもしれません.

TeX Live の場合,ディレクトリー「/usr/local/texlive/texmf-local」のサブディレクトリに以下のようにファイルを保管します.

拡張子 サブディレクトリー 内容
*.afm fonts/afm/foundry/typeface タイプ1フォントのアドビフォントメトリックス
*.bst bibtex/bst/packagename 文献参照の BibTeX のスタイル
*.cls tex/latex/base ドキュメントクラスファイル
*.dvi doc パッケージのドキュメント
*.enc fonts/enc フォントエンコーディング
*.fd tex/latex/mfnfss メタフォント(METAFONT)の定義ファイル
*.fd tex/latex/psnfss タイプ 1 ポストスクリプトフォントの定義ファイル
*.map fonts/map/ フォントマッピングファイル
*.mf fonts/source/public/typeface メタフォント (METAFONT) アウトライン
*.pdf doc パッケージドキュメント
*.pfb fonts/type1/foundry/typeface ポストスクリプトタイプ 1 のアウトライン
*.sty tex/latex/packagename スタイルファイル
*.tex doc パッケージのドキュメントの TeX ソース
*.tex tex/plain/packagename Plain TeX のマクロファイル
*.tfm fonts/tfm/foundry/typeface メタフォントとタイプ 1のフォントメトリックス
*.ttf fonts/truetype/foundry/typeface TrueType フォント
*.vf fonts/vf/foundry/typeface TeX バーチャルフォント
*その他 tex/latex/packagename 指定のないその他のファイル

ページ作成情報

参考資料

  1. パッケージからスタイルファイルの生成方法は,三重大学の奥村先生の「TeX Wiki TeX入門/各種パッケージの利用」を参考にしました.
  2. 奥村晴彦さんの「改訂第3版 LaTeX2ε美文書作成入門」(p.293)には,更新が面倒ならば,ファイルls-Rを削除しても問題ないと書かかれている.更新が面倒な人は,試してみてはいかがでしょうか.
  3. パッケージのインストールに関しては,「LaTeX/Installing Extra Packages」に,詳しく書かれています.

更新履歴

2016年01月29日 ページの新規作成


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