4 $ \nabla$演算子

ここでは,$ \nabla$が演算子であり,ベクトルのような振る舞いを示すこと説明す る.式(11)から,

$\displaystyle \left( \if 11 \frac{\partial T}{\partial x} \else \frac{\partial^...
...prime} \else \frac{\partial^{1} T}{\partial y^\prime^{1}}\fi \cos\theta \right)$ (13)

である.これを,

$\displaystyle \left( \if 11 \frac{\partial }{\partial x} \else \frac{\partial^{...
...prime} \else \frac{\partial^{1} }{\partial y^\prime^{1}}\fi \cos\theta \right)T$ (14)

と書き改めても良いだろう.従って, $ (\partial/\partial x,\,\partial/\partial
y,\,\partial/\partial z)$は演算子になっている.さらに,

$\displaystyle \begin{bmatrix}\if 11 \frac{\partial }{\partial x} \else \frac{\p...
...al y^\prime} \else \frac{\partial^{1} }{\partial y^\prime^{1}}\fi \end{bmatrix}$ (15)

の関係より,ベクトルのように振る舞うことが分かるだろう.

$ \nabla$を独立したベクトル演算子と考えると都合がよい.どのように都合が良い かは後で述べる.勾配を表す式(6)では $ \nabla T$ で一つの記号で あったが,今後はベクトル演算子 $ \nabla$ スカラー場 $ T$ との積と考える.すな わち,

$\displaystyle \nabla T$ $\displaystyle =\left( \if 11 \frac{\partial }{\partial x} \else \frac{\partial^...
...c{\partial }{\partial z} \else \frac{\partial^{1} }{\partial z^{1}}\fi \right)T$    
  $\displaystyle =\left( \if 11 \frac{\partial T}{\partial x} \else \frac{\partial...
...{\partial T}{\partial z} \else \frac{\partial^{1} T}{\partial z^{1}}\fi \right)$ (16)

である.ベクトル演算子 $ \nabla$ は右側にある量に作用することを忘れてはなら ない.従って,積の交換法則は成り立たず, $ \nabla T\neq T\nabla$ である.

また,これは微分を表すことも忘れてはならない.微分演算子 $ \mathrm{d}/\mathrm{d}x$ のようにである.このベクトル演算子はは当然スカラー場やベクトル量に作用する.

ベクトル演算子はベクトル量とスカラー積やベクトル積をとることができる.それについ ては,次節以降に述べる.



ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年5月9日


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