1 はじめに

数学の授業で学習したように,どんな複雑な関数でも微分は可能である.一方,積分とな るとそうはいかない.積分の学習では,どのようにして積分を行うかといういろいろなテ クニックを学んだはずである.微分に比べれば,圧倒的に計算が難しいことも経験済みで あろう.

例えば,ガウス分布を表す以下の関数を考える.

$\displaystyle f(x)=e^{-x^2}$ (1)

この関数の微分すること(導関数)は,簡単で

$\displaystyle f^\prime(x)=-2xe^{-x^2}$ (2)

となることは説明の必要がないであろう.今まで学習してきたように,初等関数で表すこ とができる関数の微分は,初等関数で表現できるのである.要するに微分(導関数)の値を 求めたいときには,人間が実際に微分をして,初等関数を計算すればよいのである.

一方,積分となるとそうはいかない.先の式(1)の 不定積分を初等関数で表すことができない.初等関数からできた関数であろうとも,不定 積分は初等関数の範囲を超えることがある.だからといって,定積分の値(数値)が不定と いうわけではない.

いろいろ計算をしていると,不定積分はできないが,定積分の値が必要な場合がしばしば 訪れる.そのときに,ここで学習する定積分を数値計算で求めるテクニックが使われる.

定積分は,図1に示すように面積の計算になる.したがって,直感 的にわかりやすく,アルキメデスの時代からあった.一方,微分法はニュートンの時代と すると,およそ2000年の開きがあるのである.

図 1: 定積分と面積
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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年1月19日


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