2 ガウスの法則(微分形)

先週の講義で学習したように、積分型のガウスの法則は、

$\displaystyle \int_S\boldsymbol{D}\cdot\boldsymbol{n}\mathrm{d}S=\int_V \rho\mathrm{d}V$ (1)

である。ここで、$ \rho$は電荷密度、 $ \boldsymbol{D}$は電束密度というベクトル場である。電束 密度は誘電率 $ \varepsilon$を介して電場 $ \boldsymbol{E}$

$\displaystyle \boldsymbol{D}=\varepsilon\boldsymbol{E}$ (2)

の関係で結ばれている。誘電率は空間の電気的な性質を決める定数だと思えば良い。この 積分型のガウスの法則では、閉じた空間の表面の電場とその中の電荷の関係を述べており、 近接作用の考え方の式とは言い難い。そこで、この式を利用して、微分型のガウスの法則 を導き出して、完全な近接作用の式に直すことを考える。

ベクトル解析の学習で、任意のベクトル場 $ \boldsymbol{A}$で成立するガウスの発散定理

$\displaystyle \int_V\boldsymbol{A}\cdot\boldsymbol{n}\mathrm{d}S=\int_V \div{\boldsymbol{A}}\mathrm{d}V$ (3)

を示した。これを使って、微分形のガウスの法則を導き出すことにする。これを、式 (1)の左辺適用すると、

$\displaystyle \int_S\boldsymbol{D}\cdot\boldsymbol{n}\mathrm{d}S=\int_V \div{\boldsymbol{D}}\mathrm{d}V$ (4)

となる。これから、積分型のガウスの法則は、

$\displaystyle \int_V \div{\boldsymbol{D}}\mathrm{d}V=\int_V \rho\mathrm{d}V$ (5)

となる。右辺と左辺の積分領域は同じで、この関係は任意の場所で成立している。この積 分の値がいかなる時も、どこでも成立するためには、

$\displaystyle \div{\boldsymbol{D}}=\rho$ (6)

でなくてはならない。これが、ガウスの法則の微分形である。これで、完全に近接作用の 式になった。

これまで、3つの方法で電場 $ \boldsymbol{E}$を表してきた。

  $\displaystyle \boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})=\frac{1}{4\pi\varepsilon_0} \int_{...
...mbol{r}^\prime\vert^3} \mathrm{d}x^\prime \mathrm{d}y^\prime \mathrm{d}z^\prime$   クーロンの法則の拡張   (7)
  $\displaystyle \int_S\boldsymbol{E}\cdot\boldsymbol{n}\mathrm{d}S=\frac{1}{\varepsilon}\int_V \rho\mathrm{d}V$   積分形のガウスの法則   (8)
  $\displaystyle \div{\boldsymbol{E}}=\frac{\rho}{\varepsilon}$   微分形のガウスの法則   (9)

問題に応じて、計算しやすい式を使えば良い。

それでは、いつでもこれらの式は正しいのであろうか?。静電場の問題を考える場合、ど れも正しい。しかし、電荷が動く場合、式(7)や (8)は間違いである。これらの式では電荷が変化したことによる、離れ たところの電場の変化は時間がゼロで伝わる。実験の結果、そのようなことは生じず、光 速でそれが伝わることが知られている。完全な近接作用を表す式(9)の みが有限の時間で電場の変化を伝えることができ、いつでも正しい結果を与える。ただ、 この式だけで、光速に伝わることを示すには不可能でまだ式が不足している。今後、それ については、学習する。

教科書の式(2.34)は、怪しそう。特別な場合にしか成り立たない。


ホームページ: Yamamoto's laboratory
著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年6月24日


no counter