2 トランジスター以前

電話が発明されたのは、1876年のことです。しばらくの間、電話での長距離通 話はできませんでした。というのは、電線の抵抗などにより、音声信号の電力 が途中で減衰するからです。それを回避するためには、どうしても減衰した音 声信号を元の大きさに戻す増幅器が必要となります。まず、その問題を解決し たのが真空管の一種である3極管の発明です。1906年のことです。これにより、 長距離の通話が可能になりました。

初期、特定の加入者へ電話回線を接続するためには、電話交換手と言われる人 が電線をつなぎ変えていました。しかし、加入者が増加すると間に合わなくな り、リレーと呼ばれる電気機械式のスイッチが使われるようになりました。

この、真空管とリレーで電話は大きく発展しましたが、それぞれに問題を抱え ていました。

というようなわけで、フィラメントの無い増幅素子、機械動作の無いスイッチ が求められていました。増幅素子とスイッチは同じ素子で可能です。これらを 実現するために、米国のATTのベル研では固体増幅素子の開発がはじまりまし た。


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著者: 山本昌志
Yamamoto Masashi
平成19年8月22日


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